民医連新聞

2003年7月7日

共同組織のたすけあい(3)

東京 NPO法人 ゆぎの里/「高齢者の食事」軸にたすけあい ひろげて

 共同組織のささえあい活動のシリーズ。今回は東京・八王子で今年五月「NPO法人」を取得した「ゆぎの里」を紹介します。食事会、弁当づくりと配達、移送を柱に六年あまり活動を重ね、今年三月新たにミニデイサービスを始めました。

*  *

 「いつも昼飯抜き、ここに来て栄養をつける」「一人でいると気が滅入ってしまうが、来ておしゃべりするのが楽しい」、ミニデイではうれしそうに自己紹介が交わされていました。
 八王子共立診療所と共同する「ゆぎ健康友の会」を母体として誕生した「ゆぎの里」。九七年ごろ、共立診療所からは遠いこの地域に「安心してかかれる民主 的な医療機関がほしい」と友の会をつくったことが発端。会と運動を広げるため、学習会、映画会、広報発行、ヘルパー講座など、色いろとりくんだ一つが高齢 者の食事会でした。「ゆぎの里お食事会」。これは月一回、二五~三〇人が参加し、いまも続けています。
 この食事会が「弁当づくりと配達」に発展。会に来られず、食生活に困難を抱える高齢者の多さに気づき「では届けよう」とスタートしました。「八二歳の夫 が、気管切開の妻と脳障害の息子を世話」「九〇代の両親を娘ひとりが介護」「火が使えないので、毎日冷凍で届く業者弁当をレンジで温めて食べていた」。こ うした人たちが、夕食「ゆぎの里弁当」を待っています。
 最初は週一日四〇食程度でしたが、ボランティアを募り、社会福祉・医療事業団の助成を受けて厨房を整備、要望に応えてきました。いまは週三日、一日約五 〇食強、配達コースは一二。四〇人あまりのボランティアがささえます。診療所や地域の栄養士・調理師の助言で、料理法や献立、衛生知識を習得。低カロ リー、きざみ食など利用者の要望に応えたり、郷土料理も取り入れ、喜ばれています。
 ミニデイも「食事+アルファ」の発想で始まりました。近くのアパートの一室が空き、食事会や弁当の常連でもある大家さんも後押し。弁当づくりのない曜日 をあて、週二回。俳句、男の料理教室、織物、生け花、学習会など…。講師は全員友の会員にお願いしています。
 「ゆぎの里」の戸澤賢三理事長は「こうした活動で友の会は五〇〇世帯を超え、助けあいの広がりを実感しています。でも行政サービスが行き届かない現状 を、地域住民がボランティアで補っている面も。住民参加型の活動に自治体の支援を得ること、経済的基盤の不安定さを解消することが課題」と話しています。

(民医連新聞 第1311号 2003年7月7日)

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