民医連事業所のある風景 鳥取/鹿野温泉病院 「いのちとくらし」を支える新たな事業展開 地域の「在宅生活を支える」医療活動へ転換
リハビリの病院として誕生
鹿野温泉病院は1968年9月に鳥取県東部の鹿野町(現在は市町村合併により鳥取市)に、当時としては珍しいリハビリ医療を行う病院として建設されました。鳥取市内から車で25分、古くから城下町として栄え、南部に鷲峰山を望む自然豊かな温泉地です。人口は3700人余りの小さな町ですが、医療生協組合員加入率は全国でもトップクラスの地域です。
昨年度から事業展開にとりくむ
2018年度、当院は新たな事業展開にとりくんだ1年となりました。歯科クリニック開設(7月)に始まり、老人保健施設「レインボーしかの」を介護医療院へ転換(10月)、人員配置見直しにより東病棟45床を休止(11月末)、そして今回の構造転換の中心である地域包括ケア病棟の開設(1月)を行いました。
当院はこれまで長期療養中心の医療活動でしたが、医療機能、在宅復帰支援機能を強化することによって、「在宅生活を支える」医療活動へと軸足を移しました。在宅への訪問診療や訪問看護・リハビリ、通所リハビリ、短期入所など、地域・在宅で安心してすごせるよう、医療・介護の連携をとりながら、在宅療養を可能にするための環境整備やサポートなどに力を入れています。
構造転換で経営改善につなげる
地域包括ケア病棟の本格稼働から10カ月が経過しました。外来からの発熱による衰弱や食欲不振による栄養障害、圧迫骨折、腰痛などの入院受入れのほか、在宅での療養を維持していくためのリハビリを集中して行う方の受け入れも行い、外来・在宅からの入院患者は構造転換前に比べて2倍に増えました。鳥取生協病院をはじめとする市内の急性期病院からの紹介も受け入れています。
また、地域包括ケア病棟の入院期間は、制度上60日と制限があるため、長期療養が必要な患者さんには、新館2階の療養病棟や新館3階の介護医療院で療養していただいています。
このように当院全体の構造転換をすすめるなかで、構造転換完了後の2019年1月からは、経営的にも黒字を生み出せる事業所として生まれ変わり、大きな経営改善にもつながっています。
無差別・平等を旗印に
これからも旧気高郡地域唯一の病院として、「無差別・平等の医療・介護の実践」を旗印に、組合員さんや地域の方々に支えていただきながら、周辺の事業所のみなさまと力をあわせて、地域の「いのちとくらし」を支えるとりくみに貢献していきたいと思います。
(鹿野温泉病院 事務長 渡邉 友範)