副作用モニター情報〈527〉 大腸内視鏡検査(CS)前処置薬による低Na血症
大腸内視鏡検査(CS)前処置薬として、下剤をはじめとした各種薬剤が一般的に使用されていますが、今回CS前処置薬によると思われる低Na血症が報告されたため紹介します。
症例) 70代男性。CS前処置薬として検査2日前にシンラック5ml、前日に10mlを内服。検査当日、マグコロールPを全量摂取したが排便不十分のため高圧浣腸3回施行。浣腸後、病衣を脱いで病室をウロウロする、何度も荷物を触るなど異常行動が見られた。指示が入らない状態で、各種検査施行。血糖値正常、頭部CTともに異常なかったが、低Na血症(Na:119)など電解質バランス異常がみられたため補液による補正開始。補正開始翌日には意識レベルに改善がみられ、2日目に意識障害、低Na血症ともに消失している(Na:133)。
今回の症例では、過去にCS検査歴があるものの、今回のような副作用が発現したのは初めてでした。検査前のNa値が不明であり、なぜ低Na血症を発症したかは定かではありません。ただし、検査処置前薬使用後に症状を発症していることから因果関係はあると考えます。
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CS前処置薬は多くの病院で汎用される一方、使用後の観察や副作用対策については十分に行われてないのが現状です。今回の症例のように目に見える症状が出現しなければ、通常は採血などの検査が行われることもありません。そのため、実際に副作用が起きているのかどうかは患者を十分に観察するほかありません。副作用の早期発見・早期対応には、内視鏡検査に携わる職種への注意喚起が必要です。
(民医連新聞 第1702号 2019年10月21日)
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