民医連新聞

2019年10月8日

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 昨年9月、近畿を襲った台風21号で、約220万軒が停電、続く24号では100万戸が停電となり、全面復旧までに最長16日間も要した。その反省を踏まえ、電力会社の台風対応検証委員会は、新技術導入や応援体制の強化により、停電の早期復旧に向けた体制強化をはかること、停電の長期化について情報発信の不足や遅れが、住民や自治体に不安を与えたことへの改善策を示した▼しかし、今年9月9日、首都圏を通過した台風15号の被害で、神奈川県、千葉県を中心に93万戸を超える停電が起きた。またも聞くことになった「想定外」。教訓が生かされたとは到底言えない。猛暑が重なり、多数の住民が熱中症で搬送され、復旧の遅れがいのちと健康を脅かす事態になった▼停電した民医連の診療所では、当日から訪問診療、翌日から被災している人たちのニーズをつかもうと近隣の訪問を開始した。不安と暑さの中、「夜も眠れず、食欲が落ち、4キロやせた」「ガソリンスタンドやコインランドリーの長蛇の列に並んだ」「ふらつく身体で家屋の修繕」など「誰にも聞いてもらえない」話は途切れない▼台風被害が広がる最中、安倍首相は内閣改造を行い、政府の対応は後手にまわった。国民のいのちと生活をないがしろにする政権運営そのものの是非が厳しく問われている。

(民医連新聞 第1701号 2019年10月7日)

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