民医連事業所のある風景 京都民医連あすかい病院 伝統を受け継ぎ、より信頼される 病院をめざして新たにスタート
1937年開院の安井医院がルーツ
京都市左京区にある京都民医連あすかい病院は、北東に比叡山を望み、世界遺産の下鴨神社や送り火で有名な大文字山と銀閣寺の近くに位置しています。当院の歴史は、安井信雄先生が1937年に開設した安井医院がルーツです。安井先生は「金はある時に払えばええ」「命は平等」を信条にこの地域の経済的に困窮した人々の医療を支えました。その医療方針を受け継ぎ、1955年に安井病院として田中飛鳥井町に誕生。1997年、京都民医連第三次長期計画にもとづき、京都民医連の中心的役割を担う急性期病院として京都民医連第二中央病院と病院名を改称して22年間、地域医療を実践してきました。
南館を全面リニューアル
超高齢・多死社会へ対応することを医療構想の中心に据え、南館リニューアル事業計画をすすめてきました。その主な点は、①差額室料を徴収しない急性期病床を守る、②高齢多死社会へ向け新たに「緩和ケア病棟」を開設する、③近接診であるあすかい診療所と病院外来を再編して在宅医療、かかりつけ医機能を充実させる、④人権を守る地域包括ケアを実践し、疾病予防・健康を維持する地域づくりにとりくむ。そして、診断と治療に欠かせないMRI装置とCTスキャン装置などを更新して最新設備に補強することでした。
着工から約3年半の工事を経て、2018年12月に南館リニューアルが完了。診療・入院を維持しながらの現地全面建て替えのため、解体、建設を繰り返し、その度にお引っ越し。多いところでは4回も引っ越した部署もありました。工事中は南館の入院患者さんへの食事の提供も大変でした。地下通路がつかえないため、厨房のある北館から南館へ、公道をつかっての配膳・下膳。雨の日も風の日も、栄養課の奮闘で1年間を何とか無事に終えることができました。
また外来は1階と4階にわかれての診療となり、1台のエレベーターで上へ下へ。患者さん・利用者さんは次にどこに行けばよいのかわからない…。そんなとき、友の会の役員さんを中心に案内ボランティアが登場。せまい仮設玄関からこられた患者さんに声をかけ、案内誘導をしていただきました。職員は、本当に勇気づけられました。
今年4月、病院の名称を変更
2011年に242床の病院の病床70床を分離して介護老人保健施設「茶山のさと」を開設しました。そして南館リニューアルを経て地域包括ケア病棟や緩和ケア病棟を新たに立ち上げ、京都民医連第二中央病院と改称した当初とは異なる医療機能を選択する方向に舵を切りました。それは今日の超高齢化社会にあって、救急医療・外科系医療など専門性を追求する急性期医療から、高齢者医療、在宅医療、リハビリテーションなどを軸に、亜急性期・回復期の医療を介護・福祉と連携して提供することで、この地域で真に求められる165床の病院となるための転換でした。そのような時代の流れと医療機能の変化に従い、私たちは病院名称を変更することを決定。2019年4月1日、「京都民医連あすかい病院」として新たなスタートをきりました。安井病院時代からの培われた伝統を受け継ぎ、地域に寄り添い信頼される病院をめざします。
(京都民医連あすかい病院 事務長 冨山 隆)