副作用モニター情報〈516〉 抗てんかん剤イーケプラで興奮状態に
抗てんかん剤のイーケプラ錠(一般名:レベチラセタム、以下レベチラセタム)による躁(そう)状態の副作用が報告されたので、紹介します。
症例)40代 女性
服用開始1日後:レベチラセタム開始(1000mg/日)。同時に、別の抗てんかん剤である、バルプロ酸ナトリウム(以下、バルプロ酸)減量。
服用16日後:不眠が強くなり、睡眠剤(レンドルミンD錠)追加(中略)。
服用85日後:バルプロ酸、さらに減量。
服用1年73日目:レベチラセタム3000mg/日に増量。
服用3年194日:バルプロ酸の処方なし。
服用4年215日後:レベチラセタム2000mg/日に減量し、バルプロ酸追加。
患者本人は、「躁状態で活動しっぱなしに。何も食べず、飲まなくてもいい状態だった」と話していました。
以上の症例は、その後改善しますが、薬剤の副作用と気づかずに投与を継続し、長期間、患者が苦しんでしまったケースです。併用薬剤のバルプロ酸は、抗てんかん剤でもありますが、双極性障害の躁状態を改善する薬剤でもあります。その併用薬を止めてしまったために、症状が著しくなった可能性もあります。
日本神経学会が2013年6月5日に発出した「レベチラセタム使用上の注意改訂に関連して」という文書があります。この中に、レベチラセタムの使用に際して、添付文書の「使用上の注意の中の重要な基本的注意の項」に「3.易刺激性、錯乱、焦燥、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。(以下略)」を紹介し、添付文書の改訂を知らせるとともに、「とりわけ危険な薬剤であるとの誤解が生じることがないよう、患者やその家族に対し、適切な説明を行うなど注意が必要です」と、急に服薬の中止をしないよう呼びかけています。
てんかんの発作を防ぐことは重要ですが、このような副作用もあることに留意が大切です。
(民医連新聞 第1691号 2019年5月6日)
- 記事関連ワード
- 副作用副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)症状