副作用モニター情報〈515〉 排尿障害治療薬ザルティアの副作用
前立腺肥大に伴う排尿障害治療薬であるザルティア錠(一般名:タダラフィル)の副作用は、2017年1月の時点で8例10件、現在までに17例19件が集約されています。
さらにPMDAに集約されたザルティアの副作用報告件数は2013年から2018年までに152件であり、報告件数は年々増加傾向にあります。
報告されている副作用の内容は、当モニターとPMDAで同様の傾向で、血圧低下やそれに関連する症状、消化器症状、視覚障害、皮膚障害などが多く報告されています。いずれも作用機序であるPDEV(ホスホジエステラーゼ5)阻害作用にともなうものと考えられます。
また、PMDAに心血管系イベントの報告が多数上がっている点に注意が必要です。副作用報告の詳細が不明なため関連性の検討は難しいですが、ザルティアの血圧低下作用や凝固能への関与がイベント発症へ影響している可能性は十分に考えられ、中長期的なフォローが必要です。
一般的にザルティアの副作用は中止により回復・軽快すると考えられます。しかしこのほど、民医連の副作用モニター活動を知った外部の方から、ザルティアによる副作用が長引いた症例が報告されたので、紹介します。
症例)60代男性。糖尿病、不整脈の既往
あり。排尿障害治療目的でザルティア
5mg錠の服薬を開始し、10カ月経過したところで体調不良、体重減少を自覚した。各種検査実施するも異常なく服薬を継続。服用開始1年が経過しても体調不良は持続し、激しいめまいで体動困難まで陥った。低血圧(94/56)が指摘され、ザルティアによる副作用を疑い、ザルティアは中止。中止後、めまいは改善したが、服薬中止後2年経過した現在も低血圧は残存、易疲労感など各種症状が続いている。
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症例と副作用の因果関係は不明ですが、報告者からはザルティアによる副作用が長引く可能性が示唆されていますので、副作用モニタリング時は注意が必要です。
(民医連新聞 第1690号 2019年4月15日)
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