副作用モニター情報〈514〉 テリパラチド(フォルテオ皮下注)による外耳道壊死
骨粗しょう症治療薬のフォルテオ皮下注によると考えられる外耳道壊死の報告がありました。
症例)90代後半女性、体重37kg。併用薬:ドパコール、ゾニサミド、ドネペジルなど。
骨盤骨折で入院後、フォルテオ皮下注開始。同月内に本人の希望で耳鼻科を受診したところ、右外耳道耳漏あり。翌月には、外耳道後壁、下壁に骨露出がみられた。
骨粗しょう症薬との関連について薬局で調査し、フォルテオによる副作用が疑われたため中止し、経過フォロー中。ビスフォスフォネート系薬剤の使用歴はありませんでした。
これまでも顎骨壊死など骨壊死の副作用として、骨粗しょう症治療薬のなかでも骨吸収抑制作用の強いビスフォスフォネート系薬剤や、デノスマブ(プラリア皮下注)について報告してきました。フォルテオ皮下注は副甲状腺ホルモン製剤であり、相対的に骨形成を高める意味で、ビスフォスフォネート系薬剤とは作用機序が異なります。当副作用モニターには悪心、嘔気などの消化器系障害や、めまい、ふらつき、筋けいれんなどが主に報告されていましたが、今回、初めての外耳道壊死の報告でした。
PMDAへの集約では、2010年の発売から14年までは全く報告がありませんが、15年以降は、顎骨壊死が6例、骨壊死で6例の報告があります。メーカーへの問い合わせでも、顎骨壊死とともに本症例同様の外耳道壊死の報告がありました。
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骨壊死の発生機序の一つとして感染の関与が指摘されています。フォルテオでは、発生頻度はまれですが、外耳道炎の既往がある場合や、使用後に耳のかゆみ、熱っぽさなどの違和感がないかも注意しておくべきと思われます。
(民医連新聞 第1689号 2019年4月1日)
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