副作用モニター情報〈508〉 イソニアジドによる皮疹と減感作療法
イソニアジド(INH)により皮疹が発生した後、減感作療法により常用量で服薬することが可能となった症例を紹介します。
症例)80代女性。肺結核で入院後、INH200mg/日、リファンピシン(REF)375mg/日、エタンブトール(EB)625mg/日による治療開始。服薬開始11日目に下腹部に膨隆疹が出現したため、抗アレルギー薬を開始するも皮疹が拡大。INH、REF、EBは14日目で中止し、レボフロキサシン(LVFX)+ストレプトマイシン(SM)による治療に切り替えた。薬剤切り替え後、皮疹は改善。その後INHを再開すると皮疹が再燃したため、ガイドラインに準じてINH減感作療法を開始。INH25mg/日から再開し、4日目に50mg/日、7日目に100mg/日、14日目に200mg/日へと増量した。抗アレルギー薬終了後も皮疹の再燃は見られない。
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「結核診療ガイドライン」によると、標準治療でアレルギー反応が発生し、薬剤を中止した場合、アレルギー反応が完全に落ち着いてから未使用の2剤(今回はSM、LVFX)を再開し、次いでREF、INH、PZAの順に使用可能か検討することとなっています。副作用が見られた場合は1剤ずつ減感作療法を行い、「INHは25mgから開始し、3日毎に倍量投与する。症状が再燃した場合は中止」と記載されています。
結核治療では、疾患の性質および治療薬剤が限られていることから、副作用と思われる症状があっても重度でなければ治療を継続しながら観察することも必要となる場合があります。特にINHおよびREFは結核治療で柱となる薬剤であるため、可能な限り使用できるよう努める必要があります。もちろん減感作療法中に副作用が重症化する可能性もあるため、減感作療法中は患者観察を詳細に行う必要があります。
(民医連新聞 第1681号 2018年12月3日)
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