副作用モニター情報〈500〉 新薬モニター 帯状疱疹用剤アメナリーフ錠
今号から、不定期ですが3カ月に1回を目標に「新薬モニター報告」を掲載することになりました。通常の副作用モニターとあわせ、新薬についてのモニター情報を発信していきます。
帯状疱疹用剤のアメナメビル製剤(商品名:アメナリーフ錠)について、3県連から評価が集まりました。「1日1回の服用で済み、腎障害のある場合でも用量調節が不要」というふれこみの抗ウイルス剤ですが、いずれの県連も「推奨できない」と結論付けました。
有効性を確認する指標として用いられたのが「投与開始から4日目までの新皮疹形成停止率」であり、対照薬のバラシクロビル75.1%に対し、アメナメビル81.1%でした。非劣性(事前に決めた一定の許容範囲で悪い結果ではない、という意味)を確認する試験の結果ではありますが、アメナメビルの方が上回っています。
一方で、単純疱疹での効果を200mg/日でプラセボ(偽薬)と比較していますが、優越性を確認できませんでした。
安全性の面では、他の抗ウイルス剤でも懸念されていることですが、海外では第I相試験の健常人への投与で血小板減少症や腎障害などの有害事象が問題となり、開発が中止されています。また、重度腎障害例では血中濃度の上昇が確認されています。臨床試験では血液透析患者を含めた中等度から重度の腎障害のある患者(クレアチニンクリアランスC L c r<50mg/mL)が除外されています。中毒時における血液透析での除去が可能かどうかも不明です。腎障害のある場合、本来なら対照薬となるべき細やかな用量調節が可能なアシクロビルと比べて使いづらいでしょう。
1回の治療費が、3割負担の場合は約6500円で、アシクロビル後発品なら約1500円で済みます。すべての症例で発症後72時間以内に抗ウイルス剤の投与を開始しており、帯状疱疹後神経痛の発症率には差がなくなっています。どの抗ウイルス剤がよいのかと比べるより、早期発見早期治療開始が重要なポイントでしょう。
(民医連新聞 第1673号 2018年8月6日)
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