副作用モニター情報〈496〉 ロコアテープによる副作用
経皮吸収型鎮痛消炎剤・ロコアテープ(エスフルルビプロフェン/ハッカ油製剤)による副作用報告が、これまでに8例8件寄せられています。過敏症状5件(発赤、日光過敏、皮膚炎、痒み、紫斑)、その他下痢、喘息発作誘発、胃痛が各1件でした。6例が70歳代以上、5例が2日以内の発現でした。
フルルビプロフェン(FP)製剤としては、すでに貼付剤、経口剤、注射剤がありましたが、本剤は、FPの光学活性体エスフルルビプロフェンのみを、組織移行性を高めて製剤化したものです。適応症は「変形性関節症における鎮痛・消炎」のみです。
本剤は貼付12時間後の滑膜濃度が、FP製剤の15倍にもなります。また本剤2枚貼付時の全身曝露量がFP経口剤の通常用量服用時と同等になるため、可能な限り、他の消炎鎮痛剤との併用を避けることや、1日2枚までの使用にとどめることが注意喚起されています。
報告ではアセトアミノフェン併用が1例のみでした。発現枚数は2枚が4例、1枚が3例、0.5枚が1例でした。胃痛の症例では、片膝貼付5週間で問題なく、両膝貼付にしたところ、翌日に胃痛が発現し中止しています。
本製剤は、エスフルルビプロフェンの皮膚透過性を高める目的で溶解補助剤が工夫され、ハッカ油も含まれていますが、ハッカ油については開発過程で結果的に高濃度になり、添加物としてではなく、配合成分として位置づけられました。ハッカ油は、臨床試験の対照薬プラセボ基剤中に含まれており、主要評価項目である膝の痛みの改善に大きく寄与することが示されています。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の見解でも、エスフルルビプロフェンについてはハッカ油に対する上乗せ効果としています。
一方でエスフルルビプロフェンは、高濃度に吸収されていきます。既存の非ステロイド性消炎鎮痛剤以上に注意し、用法用量を守り、特に高齢者や漫然投与には十分気をつける必要があります。
(民医連新聞 第1669号 2018年6月4日)
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