民医連事業所のある風景 埼玉/老人保健施設さんとめ 住み慣れた在宅で暮らし続ける願いを支援したい
2001年6月に開設
老人保健施設さんとめは、2001年6月に医療生協さいたま2番目の老人保健施設として建設されました。
同じ時期に、埼玉西協同病院も近接地に移転新築されました。埼玉西協同病院の前身は1951年5月に開設された富岡診療所です。
診療所開設当時、この地域は無医村で、「医者にかかるのは死ぬ時だけ」という状況のなか、富岡農民組合が中心となり診療所建設を行った歴史があります。当時の診療所は農家の自宅でした。
どんな人にも利用してもらえる施設をめざして
「さんとめ」の由来は、さかのぼること300年前。川越藩主・柳沢吉保が、1戸分約5町歩(約5ヘクタール)の耕地を短冊形に均等に配分することを決め、畑と雑木林、柿・栗などの実のなる樹木と屋敷地をセットに地割りし開墾させたこの地域を、三富(さんとめ)(上富、中富、下富)と呼んだことに由来します。
建設当時はほとんどの土地が農地で、荒れ果てた雑木林には、違法な焼却場が林立しダイオキシンによる農地汚染が問題になっている時期でした。病院と老健を同時に建設するのに適した土地を探すのは大変だったようです。
当時の組合員と職員とでなる建設委員会では、どんな人にも利用してもらえるような施設をつくっていこう、他の老健ではやらないことをやろう、さんとめに行ったら何もかも大丈夫だよねといわれるような老健をめざそう、と話し合われてきました。
開設当初から在宅復帰にこだわって
こういった思いを形にするため、開設当初から、在宅復帰にこだわって、全ての職種がとりくんでいます。介護保険制度には無い職員付き添いでのお試し在宅復帰(外泊)などをはじめ、さまざまなとりくみで在宅生活を支援してきました。通所リハビリテーションは、介護報酬改定で大規模減算が決められたときには、利用希望を断らない信念から、「より大規模になろう」と定員を100人にしました。
「つくって良かった」 の言葉を糧に
富岡診療所の開設に関わった当時は若者だった組合員、建設委員会に関わった組合員が高齢となり、当施設の利用者になっています。建設委員だった方は、脳梗塞を患い歩行は無理と診断されましたが、当施設の通所リハビリテーションを利用し、杖歩行ができるまでになりました。
昨年開設した小規模多機能の第1号利用者は、医療生協の支部長さんです。
「さんとめをつくっておいて良かったよ」「さんとめに行けば何もかも大丈夫」と言ってくださる言葉を糧に、さらに歩みをすすめていきます。
(老人保健施設さんとめ事務長 前田 正人)
老人保健施設さんとめ
・在宅強化型老健
・入所 定員100人
・短期入所(空床時利用)
・障害児者短期入所(空床時利用)2016年4月
・通所リハビリテーション 定員100人
・訪問リハビリテーション
・居宅介護支援
・特定、障がい児相談支援2018年5月
・富岡地域包括支援センター
・グループホームさんとめ(2ユニット18人)2017年4月
・小規模多機能さんとめ(29人定員)2017年4月