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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈494〉 DPP-IV阻害剤による類天疱瘡〈第2報〉

 2型糖尿病治療薬として広く使用されているDPP-4阻害剤は、2016年に重大な副作用として「類天疱瘡」が追記されました。12~17年度までにPMDAへ報告されたDPP-4阻害剤による類天疱瘡は600件以上にのぼり、民医連副作用モニターにも報告が相次いでいます。
 17年7月17日付の民医連新聞「副作用モニター」482回で、DPP-4阻害剤による類天疱瘡が疑われた症例と、検討されている機序を紹介しましたが、今回はPMDAおよび民医連副作用モニターに集積された症例からみられる傾向や注意点についてまとめましたので、紹介します。
 DPP-4阻害剤により類天疱瘡が発生する機序は現在もはっきりとわかっていませんが、PMDAに集積された症例を解析すると発症時年齢は70歳代、80歳代が多く、男女比は6:4と男性に多くなっています。これは自然発生の類天疱瘡が高齢者で発症しやすいこと、糖尿病患者は男性の方が多いことと一致しており、患者背景からは薬剤性類天疱瘡の特徴を見出すことはできませんでした。
 さらに副作用の経過をみると、「回復」(18%)に比べ「軽快・未回復」の割合は60%と高くなっていました。薬剤中止後も症状が長引く、または残存するなどして、治療に長い期間を要している可能性があります。
 また、当副作用モニターに報告された症例では副作用治療にステロイドが投与された結果、糖尿病治療自体に悪影響を及ぼすという負の連鎖も見られました。類天疱瘡は致死的な副作用になる可能性は低いものの、患者への負担は決して小さいものではなく、注意が必要です。

 * * *

 残念ながら現時点で明確な副作用予防策はありませんが、経過が「回復」となった症例は「未回復・軽快」の症例に比べ副作用発症から薬剤投与中止までの期間が短いという傾向がみられました(回復=94日、未回復・軽快=156日)。副作用の早期発見・早期治療が患者の負担を減らす可能性があることを念頭に入れておくことが大切です。

(民医連新聞 第1667号 2018年5月7日)

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