副作用モニター情報〈488〉 経口抗凝固剤アピキサバンの副作用〔第1報〕
経口抗凝固剤アピキサバン(商品名:エリキュース)は、ワルファリンより効果の発現が速やかで、食事や併用薬の影響を受けにくいことから、使用例が増えています。
経口抗凝固剤の当モニターへの副作用報告件数は2017年7月までに、ワルファリン142件、ダビガトラン137件、リバーロキサバン49件、エドキサバン16件。そして、アピキサバンは16症例21件でした。
出血関連の副作用は、輸血が必要となった痔出血と出血部位不明の2件、全身各部位からの出血と皮下出血、出血性脳梗塞、血液凝固作用の低下を示すINR延長が各1件でした。発疹発赤、痒みなどの皮膚・アレルギー症状は合計5件。間質性肺炎、薬剤性肝障害、「体が動かなくなった」が各1件、その他の軽微な副作用が8件でした。
同剤によるPMDA(医薬品医療機器総合機構)への副作用が疑われる報告を調べると、出血に関連する症例数は貧血が153例、消化管関連の出血は450例を超え、脳血管系では脳出血が約600例、出血性脳梗塞42例を含む脳梗塞は約450例、皮膚筋肉関連で約180例、泌尿器系は約70例、凝固時間延長関連は15例、肝障害は約80例、間質性肺炎86例という状況でした。当モニターは、報告数は少ないものの、副作用の内容を的確にとらえています。
当モニターへの報告を年齢別に見ると、70歳以上の高齢者が14例、60代後半の2例は「発疹・痒み」の過敏症状でした。投与量別に見ると、PMDAの報告の大半は5mg/回の投与時におけるものですが、当モニターでは、5mg/回の副作用は出血部位不明の出血、めまい、「体が動かなくなった」、発疹の4例でした。ほとんどが2.5mg/回での報告で、添付文書通りに投与量を調節しても副作用を防げませんでした。
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本薬剤について、当モニターには無い腎障害の報告がPMDAには79例もあり、注意が必要です。また、脳梗塞の症例も多数報告されており、効果が不十分、つまりワルファリンより効果が弱いのかもしれません。
(民医連新聞 第1656号 2017年11月20日)
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