副作用モニター情報〈483〉 GLP-1受容体作動薬(ウイークリー製剤)の副作用
GLP-1受容体作動薬という糖尿病治療薬があります。GLP-1(ヒトグルカゴン様ペプチド-1)とは、インクレチンという消化管ホルモンのひとつで、食物をとると小腸下部から分泌されます。作用は、血糖依存性のインスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、食欲抑制、食物の胃からの排出遅延、膵β細胞保護など。しかし、DPP-4という酵素に壊され、すぐに活性を失ってしまいます。そこで、活性を失わない人工的なGLP-1を作り、血糖値を下げる薬剤にしたのがGLP-1受容体作動薬なのです。いずれも、皮下に自己注射する薬剤です。
今回は、そのGLP-1受容体作動薬の中でも、週に1度の注射で有効性を発揮する薬剤(ウイークリー製剤)をとりあげます(現時点で、「トルリシティ皮下注」と「ビデュリオン皮下注」の2つ)。
症例1)トルリシティ皮下注による悪心・嘔吐。60代、女性。自己注射の翌日、ER受診。嘔吐2回、胃腸炎を疑い点滴を行った。自己注射4日後、ER受診。昼に嘔吐、食後ムカムカする。逆流性食道炎の疑い。自己注射5日後、主治医を受診。トルリシティの副作用を疑い、中止することに。投与開始以降、ほぼ食事できていなかった。自己注射6日後、保存的処置、悪化防止のため入院。自己注射12日後、症状無くなり退院。
症例2)ビデュリオン皮下注による中等度下痢。50代、女性。エクア錠からビデュリオン皮下注に変更。投与1カ月後、「注射の翌日に下痢を起こすが、その後は落ち着く」と本人から報告。投与2カ月後、「下痢はひどくなった。突然発症し、食べずに様子をみても関係なかった。ひどい時はおむつを使った」との訴え。ビデュリオンを中止。
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GLP-1製剤の副作用にはもともと「消化器症状」が挙がっていました。週1度注射の製剤になったことで作用が持続すると同時に、副作用も持続するのが問題です。特に投与初期は副作用に注意しましょう。
(民医連新聞 第1649号 2017年8月7日)