副作用モニター情報〈477〉 ベルソムラ錠の副作用 第2報
スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠)は、2014年11月に発売された、不眠症治療薬です。ベンゾジアゼピン系薬剤では筋弛緩作用などの副作用がありますが、それを軽減できることも期待され、使用が増えつつあります。今年2月にNHKの番組で、薬効が不適切に紹介され、話題になりました。
2016年4月4日付の第1報では、悪夢の症例を紹介しましたが、これまでに当モニターには15例19件の副作用報告があります。「悪夢・睡眠時幻覚」4件、日中の眠気を含む「傾眠」4件、「浮動性めまい」2件、「健忘」1件などです。添付文書にないものとして「熱感」、「発汗」が各1例あります。特徴は、使用量は全例15mgで、初回服用での発現が多いことです。
本剤の用量は、日本では成人20mg、高齢者の場合は15mgです。しかし、半減期が10時間以上と比較的長いため、米国では服用翌日の自動車運転時の安全性を重視し、開始用量は10mg、効果不十分な場合に15~20mgとしています。日本では、10mgでの効果が不明確だとして、自動車運転を避けるよう添付文書上で注意喚起することで、米国より多い用量に設定されています。
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なお昨年12月、日本でも10mg錠が追加発売されましたが、用法・用量に変更はありません。10mg錠の添付文書上の位置づけは、あくまでも高血圧治療薬ジルチアゼムなどの薬物代謝酵素CYP3A阻害剤との併用で、本剤の血中濃度が上昇してしまうのを避けることが目的です。しかし、薬物相互作用以外の理由でも、「一時的に減薬して治療が継続できるよう10mg錠の開発が必要である」と、本剤承認時にPMDAが指摘しています。
これまでの症例報告15例のうち6例が80歳以上でしたが、80歳以上の日本人は治験に参加していません。特に高齢者への使用については今後も注意し、場合によっては減薬も必要だと思います。
(民医連新聞 第1643号 2017年5月1日)
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