副作用モニター情報〈474〉 アタラックスP注射液による副作用
ヒドロキシジン塩酸塩注射液(製品名:アタラックスP注射液)の効能・効果は、「神経症における不安・緊張・抑うつ、麻酔前投薬、術前・術後の悪心・嘔吐の防止」です。他剤(ペンタゾシンなど、商品名:ソセゴンなど)と混合して点滴静脈内注射で頻用されています。
投与方法は筋肉内注射と点滴静脈内注射の2つで、点滴静注では起きない副作用が筋注で認められています。それが、「注射部位の壊死、皮膚潰瘍」です。
発症はいずれも手術前投与で、ファイザー製薬の「使用上の注意改訂」でも以下のように報告されています。
(1)30代男性。左肩に筋肉内投与後、注射部位の発赤。翌日、皮膚壊死を認めた。
(2)50代女性。筋肉内投与部位に発赤、皮膚硬化があり同部をマッサージ。翌日、皮膚の淡緑色変化、血行不良。40日後、皮膚壊死部を切除。約3カ月後瘢痕化した。
添付文書は2009年6月、「筋肉内注射後は強くもまず、おさえる程度にとどめること」と改訂されています。
当モニターには皮膚壊死以外の報告がありました。
症例)70代女性。リハビリ目的で入院。腎機能軽度低下。発症2カ月前、夜中開眼しているため同剤25mgを1日1回、2日間投与。舌根沈下なし。発症2時間前、呻(しん)吟(ぎん)著明、25mgを1A静注。発症時、呻吟軽度改善し入眠していたが、いびき様呼吸と舌根沈下、意識レベルはIII-200。発症3時間後、睫毛(まつげ)反射と対光反射あり。舌根沈下、呼吸回数多く、いびき様呼吸で不規則。発症6時間後、呼吸回数18~25回/分。回復したと考えられた。
腎機能が低下している患者に本剤を25mg投与は過剰だった可能性があります。最高血中濃度に到達するのは、注射の2時間後です。発現時間と一致していますが、作用機序は不明で、筋肉弛緩作用のある薬剤で起こる副作用と似ています。注意しましょう。
(民医連新聞 第1640号 2017年3月20日)
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