副作用モニター情報〈471〉 排尿障害治療薬ザルティアの副作用まとめ
ザルティア錠(一般名:タダラフィル)は、前立腺肥大に伴う排尿障害治療薬です。作用のしくみが新しく、2014年4月に承認され、販売中です。これまでの治療に抵抗性がある患者でも、治療の選択肢が広がることが期待されました。
一方、本剤は選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬で、「併用禁忌」および「注意」とされる薬が多いこと、降圧薬との併用で過度に血圧が下がる可能性があるなど、安全性には疑問がありました。
さらに、勃起不全治療薬シアリス(一般名:タダラフィル)と成分が同一であるため、厚労省からは適正使用を厳格に守るよう通達が出ました。また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)からは、薬品名が酷似している「ザイティガ」と取り違えないよう注意喚起されました。
当モニターには、8例10件の副作用報告がありました。そのうち特徴的なのは、血圧低下やその関係と思われる報告で5件(ふらつき2、血圧低下1、動悸1、頭がくらくらする1)と視覚障害が2件です。
血圧低下やふらつきなどの5件のうち、4件で血圧を下げる薬(降圧薬、α1遮断薬、PGE1誘導体製剤)を併用していました。高齢者は特に、ふらつきや血圧低下が転倒など重大事故につながりやすいため、投与の際は十分な配慮が必要です。
また、視覚障害にも注意しましょう。本剤を含め、PDE5阻害薬による視覚障害はおおむね一過性です。しかし、稀に視力低下や視力喪失につながる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)を引き起こすという報告があります。因果関係は不明ですが、添付文書でも注意喚起されています。服薬開始初期に発症するリスクが高いとされているので、視覚障害が現れた時は投与を中止し、眼科につなぐなどの対応をしましょう。
本剤は、腎機能に障害がある場合のみ、投与量を減らす決まりです。しかし、併用薬や年齢なども考慮に入れ、少量から始めることも検討しましょう。
(民医連新聞 第1636号 2017年1月23日)
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