民医連事業所のある風景 鹿児島/徳之島診療所 ひとの生命に離島はあってはならない
キュウガメ~ラ!
徳之島は鹿児島から南へ約500キロに位置する島です。奄美大島、沖永良部島、与論島を含む奄美群島のほぼ中心に位置します。沖縄まで約250キロで鹿児島より沖縄に近いのですが、鹿児島県ですのでお間違えなく。徳之島町、天城町、伊仙町の3町を有し、人口約2万5000人が暮らすサトウキビと闘牛の島です。また「奄美・琉球」諸島は世界自然遺産候補地として選定され登録をめざした活動が活発になっています。
急性期から慢性期・在宅医療まで担う有床診療所
徳之島診療所は1965(昭和40)年6月、奄美大島診療所(現在の奄美中央病院)の分院として徳之島町亀津に開設しました。1975年に徳之島医療生協を設立、1990年に徳之島医療生協が母体となり奄美健康会議、南大島保健生協の3法人が合併し現在の奄美医療生協へと発展してきました。徳之島地区には現在約7500人の医療生協組合員がいます。
医師2人体制で急性期から慢性期・在宅医療、乳幼児からお年寄りまで、幅広く担う有床診療所としての役割を果たしてきました。島内に小児科医が常駐していない、大動脈解離や脳出血などの救急医療はヘリ搬送が必要になるなど、離島であるがゆえのさまざまな制約はありますが、患者・組合員・スタッフが一丸となって日々楽しく過ごしています。
住み慣れた家で過ごし続けることを支える
脚が弱くなって往診管理に切り替えたおじいちゃんは、戦争法が話題になると「戦争が始まるかもしれない」と、庭に防空壕を掘るために歩きだしました。認知症が進んだおばあちゃんは、古くて壁や床が隙間だらけの、かなり傷んだ一軒家に一人暮らしですが、元気に過ごしています。電話が好きなおばあちゃんは少しでも気になることがあると「なんちかねぇ」としょっちゅう問い合わせの電話をかけてきて、スタッフからは「なんちかばあちゃん」と親しまれています。
住み慣れた家で過ごし続けること…集落の助け合い・診療所・ヘルパー・訪問看護・通所リハなどの関わりで少しずつ生活を支え合うことができるよう、これからも徳之島診療所は地域にあり続けていきます。最近は終末期を生まれ育った徳之島で過ごしたいと、内地から帰ってくる人の受け入れも増えています。
「地理的離島はあってもひとの生命に離島はあってはならない」これが奄美医療生協のスローガンです。築37年となる診療所の建て替えは、とり急ぎの課題でしょうか…
徳之島はいいところよぉ~。どうかどうかモ~チタボ~レ!
(徳之島診療所 事務長 田川 浩一郎)