民医連事業所のある風景 京都/紫野協立診療所 歴史ある2つの診療所の合併でパワーアップめざす
紫野協立診療所は、京都市北区紫野学区にあります。この地域は、自然に恵まれ、大徳寺、今宮神社、玄武神社、雲林院など、世界的にも有名な歴史・文化遺産の多い地域です。紫式部や牛若丸、弁慶、築山御前の伝説が残る地域でもあります。
船岡山のふもとに開設
紫野協立診療所は、京都市北区内にある2つの診療所が合併し2014(平成26)年4月に開設されました。2つの診療所とは、待鳳診療所と紫野診療所です。
待鳳診療所は、1950(昭和25)年9月に地域の人たちが「作る会」を組織し、一口50円の募金を募り創設しました。1954(昭和29)年5月に医療法人となり、1959(昭和34)年には歯科を併設しました。
紫野診療所は、1998(平成10)年に北病院(1966年開設)の外来部門とは別に在宅医療を強める診療所として開設し、2000(平成12)年に北病院(一般病院66床)の移転によりその跡に病院外来部門を引き継ぎ、診療所として出発しました。
1966(昭和41)年に竣工し老朽化した紫野診療所建物の改築事業の検討を行うなかで、近接の待鳳診療所(約1キロの道のり)と合併し、診療体制・検査機能などパワーアップをめざし、2014(平成26)年4月に開設しました。所在地は、北大路通に近く、船岡山のふもと260坪の土地に4階建てです。法人としては、2000年に北病院を介護療養型医療施設に転換し、移転新築して以来の投資事業です。
困難も乗り越えながら
診療所内は、1階医科、3階歯科、2階通所リハビリテーション、4階法人事務局、会議室等を配置しています。少し離れたところにデイサービスがあり、1つの事業所として運営し、“スケールメリットをいかした事業展開”をコンセプトの1つにしています。
医科は、電子カルテ導入、2つの診療所の一体運営、医師体制の困難な状況が続きましたが、2年目にはようやく落ち着いてきました。
歯科は、診療室の環境が大幅に改善され、県連からの医師支援も得て順調に患者数を伸ばしてきました。しかし医科、歯科ともに多額の減価償却費により利益確保に至っていません。
通所リハビリテーションは、入浴サービスがなく短時間リハの準備期間の短さから開設間もないころは、利用者確保に大苦戦しました。現在は待機者が数十人あり、空きを待ってもらっています。2年目は利益が確保できる構造に改善しています。
開設したころの混乱期から落ち着き始め、前期からは、共同組織と月1回地域に出かけ、会員の要求、要望、意見を直接聞き取る訪問活動、地域の中で医療、介護、生活面で困難を抱えている人の掘り起こしを行うネットワークを築く活動を粘り強く行っています。また周辺には4つの総合大学があり、福祉系学部の教員、学生との交流を、地域のたまり場開設を契機に始めています。
気軽に相談できる診療所づくりを…
まだまだ課題山積の発展途上の段階ですが、それぞれの事業の「強味」を見出し、それを生かして「誰もが安心して住み続けられるまちづくりめざし、地域から診療所・事業所を見つめ、他の医療機関や福祉・介護との連携を強め、気軽に相談できる診療所・事業所づくりをすすめよう」「平和と人権の感度を高め、戦争する国づくり、生存権に逆らう医療、社会保障の改悪とたたかい、無差別・平等の医療・福祉事業活動を展開しよう」(昨年の総括会議で決定)をかかげ、職員の力を引き出していきたいと思います。
(紫野協立診療所 医科事務長 戸田 光一)