医療・看護

2015年9月10日

【声明2015.09.10】在外被爆者への医療費全額支給を認めた最高裁判決を歓迎する

2015年9月10日
全日本民主医療機関連合会
会  長  藤末 衛

 9月8日最高裁第3小法廷は、海外に住んでいることを理由に被爆者援護法に基づく医療費支給の申請を却下したのは違法として、韓国在住の在外被爆者ら3人が大阪府に処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、在外被爆者の排除は法の趣旨に反するとして「在外被爆者にも支給すべきだ」とする初判断を示し、医療費支給を担当した大阪府の上告を棄却した。この判決を受けて厚生労働省は運用を改め、約4200人の在外被爆者全員を全額支給の対象にする方針を固めた。

 判決理由で最高裁は「援護法には支給対象を国内在住者に限るなどの要件はない」と指摘し、「在外被爆者が医療を受けるために来日するのは困難。医療費を一切支給しないのは法の趣旨に反する」と判断し、大阪府の上告を棄却した。原告の勝訴が確定した。この判断は裁判官5人全員一致の意見である。

 原告は広島で胎内被爆した李洪鉉(イ ホンヒョン)さんと広島で被爆した後に死亡した韓国籍の男性2人の遺族。被爆者健康手帳を交付した大阪府に、韓国の医療機関に支払った医療費の支給を申請したが却下され、提訴した。1審大阪地裁は「援護法には支給対象を国内の被爆者に限る規定はない」として府の処分を取り消し、2審大阪高裁も支持した。

 全日本民医連は、この最高裁第3小法廷の判決を歓迎するとともに、今後も在外被爆者を含めたすべての原爆被爆者の健康被害への全面的な救済のために力を尽くし、ひきつづき全国の被爆者とともに原爆症認定行政の抜本的な改善、被爆者医療の充実のために奮闘する決意である。

以上

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