声明・見解

2014年9月11日

【声明2014.09.11】周辺住民の生命や安全より再稼働を優先する川内原発の審査書決定はただちに撤回せよ

2014年9月11日
全日本民主医療機関連合会
会  長  藤末 衛

 原子力規制委員会は9月10日、九州電力川内原発1、2号機が、原発の新しい規制基準を満 たしているとの審査結果を正式に決めた。審査書は、福島第一原発事故の教訓が反映されていない「新規制基準」にもとづき作成された。審査書案には約1万 8000件の意見が寄せられたが、字句の手直し程度にとどまり、専門家からの疑義が出ていた火山のリスクや、住民の避難計画などに関する意見は反映されな かった。この決定は、まさに住民の生命や安全より再稼働を優先するものであり、撤回を強く求める。

 福島第一原発事故の発生から約3年6カ月が経過したが、福島ではいまだに12万6000人が避難生活を強いられ、放射能汚染により住み慣れた家や故郷を 奪われたままである。そのうち約4万人が県外へ避難している。自宅に帰れる見通しはまったく立っていない。劣悪な仮設住宅等での避難生活が長引く中で、体 や心の健康を害し、震災関連死が、地震・津波の直接被害で亡くなった方を上回り、なお増え続けている。
 また、福島第一原発の現状は、建屋内の空間線量が極めて高く人が建屋内に入ることさえできない。メルトダウンした炉心がどうなっているのか全くわからな い。さらに放射能汚染水が増え続け、コントロールできない非常事態が続いている。原発事故は収束どころか事故のまっただ中である。政府が今やるべきこと は、国内外の英知を結集し、福島第一原発事故の汚染水対策にあたることであり、原発事故の原因を究明することである。事故の原因の究明もされておらず、収 束の見通しも立っていない状況での原発再稼働など論外である。

 川内原発は、大きなカルデラ火山に囲まれた立地にあり、大噴火の可能性も指摘されている が、まともな検討も対策も取られていない。さらに事故が起きた時の避難計画は審査の対象とはされていない。半径10~30kmの要援護者の避難計画につい ては策定の見通しすら立っていない。アメリカでは避難計画のない原発の稼働は認められていない。このように、再稼働ありきの審査書決定は、住民の生命より 原発再稼働を優先するものであり、断じて認められない。さらに今夏は48年ぶりに「原発稼働ゼロ」の夏となり、原発なしで電力をまかなえることが証明さ れ、原発再稼働を強行する根拠はない。

 多くの国民、地元の自治体住民が反対している原発再稼働を強行する姿勢は、民主主義の否定であるとともに重大な世論への挑戦である。いまこそ安倍政権は、原子力発電からの撤退を決断し、国内全ての原発を廃止しエネルギー政策を再生可能エネルギー中心に転換すべきである。
 全日本民医連は、原発事故被害者に寄り添い、引き続き幅広い人びとと連帯し、原発再稼働反対、原発ゼロの日本をつくるため全力を尽くすものである。

以上

(PDF版)

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