【声明】薬害ヤコブ病裁判の和解にあたって
全日本民主医療機関連合会 会長 肥田 泰
2002年3月25日薬害ヤコブ病裁判は、被告である国とメーカーであるビー・ブラウン社(ドイツ)と日本ビー・エス・エス株式会社が責任を認め「被害者に深く衷心よりお詫びをする」とし和解が成立した。
全日本民医連は、これまで各地で薬剤師を中心に、この訴訟を支援してきた。今回の和解の成立を心から歓迎するものである。
ヒト乾燥硬膜ライオデュラ移植によるヤコブ病感染の被害は未曾有のものであり、遺族、家族の物心両面における多くの悲しみと苦難ははかり知れない。また 同時に、薬害エイズなど、繰り返されてきた政府・厚生労働省の体質に対して激しい怒りを禁じえない。
「二度と薬害を起こさないことこそが、亡くなったものへの供養」と語った大津原告団長の谷三一さんの言葉にあるように、このような薬害が繰り返されない よう、全日本民医連も国民とともに、全力で薬害の根絶に向けてとりくむ決意を新たにするものである。
和解確認書では、賠償額の支払い以外にも被告国がこのような事態に至った原因の解明と改善、安全かつ有効な医薬品、医療器具を供給するための情報収集と 公開、医学・薬学などで過去の事件を学び、生物由来の医薬品等の安全確保、企業責任の自覚をうながすこと、患者家族、遺族に対する精神的ケアを含む相談活 動などの支援機構の設立が確認されている。
これらの確認事項が実効あるものとして実施されることを、全日本民医連としても強く求めていきたい。また、現在も数十人の未提訴者が存在すること、硬膜 移植を受け感染の恐怖にさらされている方がたが数十万人存在しており、いまだ薬害ヤコブ病の被害に対する社会的な支援が必要である。さらに今後、新たに発 症した被害者に対しても、治療費をはじめ、公的に補償することを要望する。
全日本民医連も医療機関として、手を緩めることなく最大限の支援を行っていくものである。
2002年4月1日
(民医連新聞 第1273号 2002年4月11日)
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