民医連新聞

2014年7月21日

相談室日誌 連載374 地域商品券が届かない 町の生活支援を阻むのは 鮎沢ゆかり(長野)

 下諏訪町と町商工会議所が「生活応援商品券」を発行しました。四〇〇〇円で購入すれば五〇〇〇円分の買い物が町内でできるというものです。同町はこれを生活保護受給世帯や高齢者・要介護認定者・重度障害者のいる世帯などに、一冊ずつ無料配布することにしていました。
 灯油代が高騰した昨年、低所得世帯は越冬に非常に苦労しました。私たちが関わる支援団体「SOSネットワークすわ」が、数十世帯に灯油を配らねばならな かったほどです。町には低所得者向けに灯油代を補助する「福祉灯油券」も要望し、「生活支援策を検討する」との回答が。その結果が商品券の配布でした。
 ところが、六月の配布直前、長野県諏訪福祉事務所から生活保護世帯に「配布される商品券を五〇〇〇円分の収入とみなし、七月の保護費から五カ月間月一〇 〇〇円ずつ減額する」との通知が。「消費税増税には保護基準を改定して対応した。収入申告しなければ指導する」とも。
 これでは生活支援の意味がありません。町は福祉事務所に掛け合いましたが、県は厚生労働省に確認済みとし、覆せませんでした。生活保護世帯への商品券配 布は中止になりました。七月の生活保護費は商品券が配られる見込みで減額されていました。楽しみに待っていた商品券ももらえず、保護費を減額された当事者 は「自分たちは軽い存在なのだ」と落胆していました。
 七月九日、この問題で諏訪福祉事務所と懇談。話は平行線に終わりましたが、国が各都道府県に「市町村が消費税増税にかかわる支援を生活保護世帯に行った 際は、収入認定するように」と通知していたことが分かりました。
 町の商品券は沈んでいる景気を少しでも復興させようという目的で、県が断定したような消費税増税への補助ではありません。何より、本来なら四〇〇〇円で 五〇〇〇円分の買い物ができるが、生保受給者にはそれを許さないというのは、差別ではないのでしょうか? 県には、このほど長野県民医連がまとめた生活保 護受給者の生活実態調査報告も渡し「低所得者にとっての一〇〇〇円、五〇〇〇円の重みを知って」と訴えました。引き続き運動していきます。

(民医連新聞 第1576号 2014年7月21日)

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