民医連新聞

2014年7月7日

医療・介護総合法 可決 実施中止を求める―民医連

 国会で審議されていた「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(以下、医療・介護総合法案)」が六月一八日、参議院本会議で可決・成立しました(賛成一三五で自民・公明と新党改革の一人。反対一〇六)。
 同法は医療や介護などにかかわる一九本の法改定を一括したもの。病床の削減、要支援者の訪問・通所介護を保険給付から外して市町村事業に移すこと、介護保険利用料二割化などの大改悪を含んでいます。
 しかも審議過程で、厚労省が「利用者に二割負担を支払う余裕はある」との根拠にした資料の誤りを小池晃参院議員(共産)が指摘。実際は余裕などなく「努 力して負担してほしい」と居直っていた厚労大臣が誤りを認め、撤回することに。六月一七日の公聴会でも有識者から反対意見が続出。それでも、採決は行われ ました。なお採決に際しては、二二項目もの附帯決議がつきました。

 全日本民医連は即日、抗議声明を発表。「誰もが安心して医療や介護サービスを受けられる権利を根本から崩し、社会保障の解体路線にかじを切る医療・介護 総合法は断じて認められない」としました。また「同法の実施中止を求め、ただちに広範な人々とたたかう」と表明しました。

中央公聴会で山田副会長が公述 「病態悪化招く」 

 六月一六日、参院厚生労働委員会で医療・介護総合法案に対する中央公聴会が開かれ、六人の公述人が発言しました。全日本民医連の山田智副会長(介護・福祉部長)が、医療・介護現場の実態を示しながら同法案に反対を表明しました。
 山田副会長は、全日本民医連が行った影響調査を元に、要支援者が利用している訪問介護・通所介護が使えなくなると「閉じこもりがちになり介護度が上が る」「日常生活に障害が出て病態悪化のおそれがある」と報告。「要支援者の地域支援事業への移行は断じて行うべきでない」と反対しました。介護認定制度へ の疑義、地域医療構想作成での現場の混乱も報告しました。
 山田副会長は各議員の質問に対し、「特養入所は要介護3以上と言うが、要介護1・2の待機者は約一七万人。基盤整備が必要だ」「入所定員の倍の待機者が おり、辞退理由のトップが死亡」「県を超えて救急搬送があるのに、県ごとに医療ビジョンを策定するのは現実的でない」などと答えました。


【今国会提出の法案】
医療・介護総合法の他に扱われた法案は次の通り。
・秘密国会法が成立。秘密保護法の年内施行をめざし、衆参両院に秘密会を常設して国会を秘密保護体制に組み込む内容。
・労働者派遣法改正案は審議入りせず廃案。原則一年最長三年の派遣期間を撤廃、正社員を減らし派遣社員に置き換える内容。
・過労死防止対策推進法が可決・成立(全会一致)。「過労死」の文言を初めて明記、国の責任で調査研究、防止策を国会に報告することなどを定めたもの。
・学校教育法・国立大学法人法改正が成立。大学運営での学長権限を強め、教授会の役割を弱める。
・会社法改正が成立。水俣病の加害企業であるチッソの責任逃れを可能にする内容が盛り込まれている。
・放送法、電波法改正が成立。ローカル局の地域性確保が困難になる恐れ。

(民医連新聞 第1575号 2014年7月7日)

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