第35期第1回評議員会アピール
はじめに
第35回全日本民医連定期総会から半年が経過しました。激動の半年間でした。重点としてとりくんできたことは次の点です。
第一には医療大改悪阻止、有事法案反対をめざして共同組織とともに大運動にとりくみました。
第二には川崎問題や医療事故の痛恨の経験を踏まえ、医療の安全性や倫理問題、危機管理のあり方などについて学び、点検をおこなってきました。
第三には03年8月の第四次医療法改定、04年4月の医師研修必修化などの情勢変化を踏まえて医療・経営構造転換と医学生対策、医師研修問題の前進めざしてとりくみました。
第四には第35回総会方針と医療・福祉宣言を受けて教育学習月間にとりくみ、事業所ごとの医療・福祉宣言づくりをよびかけてきました。
第五には全日本民医連の機構を、より現場に則して、より総合的に指導援助ができるよう変更してきたことです。
第一回評議員会は8月24~25日に開催され、第35回総会以後半年間に全国各地でとりくまれた総会方針の実践を交流し、経験や教訓を学びあいました。 また、今後の平和・医療・社会保障をめぐる情勢を深め合い、第35回総会で確認した運動方針の全面実践をめざして、第2回評議員会までに、全日本民医連及 びそれぞれの地協、県連、法人・事業所でどんな課題を実践し合うのかを意思統一し、第1回評議員会アピールを確認しました。すべての職員で読み合わせ、創 造的に発展させましょう。
医療改悪阻止・有事法案反対のたたかいの総括と秋からの課題
「いのち守れ 2・14集会」は多くの民医連職員と共同組織、社保協や全労連の仲間1万5000人が集ま り、たたかいの発火点となりました。この時点で1300万筆の署名は7月末時点で2700万筆、650自治体の決議に広がり、議員要請行動や連日の国会行 動など地域と国会を結んだたたかいが、世論を大きく変え(60%以上が反対)、あと一歩で廃案というところまで迫りました。民医連は中央社保協に結集して 1000万を超える署名のうち349万筆を集めました。日本医師会、日本看護協会など多くの医療関係団体、全労連や連合の仲間、野党四党が最後まで結束し て廃案を主張したたかいました。中央、県、地域で社保協が運動の中心となり重要な役割を果たしました。「無駄な公共事業を削って医療や社会保障の拡充 を」、「医療や介護は競争原理になじまない」の声は共通の認識となっています。このたたかいを通じて広がった「連帯と共同」は今後、医療や社会保障を拡充 させていく上で貴重な財産となりました。そのことに確信を深め、たたかいを中央、地方レベルでひろげましょう。中央社保協の「医療改悪撤回を求める」署名 を積極的にとりくみます。また10月1日にむけ、改悪の不当性を訴えつつ、具体的に受療権を守るとりくみを一斉にすすめます。運動を通じて准看移行教育で 04年から実施明言をかちとりました。
今国会で有事法案は世論の高まりで成立を断念させることができました。数多くの著名人も賛同し、港湾・航空20労組などと共同してとりくんだ5月、6月 の集会を成功させ中央、地方レベルで急速にたたかいを広げました。「私たちはいのちを守る医療人として憲法違反の有事法案を許さない」との立場から医師た ち1365人(第一次分)が医師・歯科医師緊急アピールに応えました。有事法制化をめぐる情勢は予断を許しません。5月、現地の要請を受けて原水協のフィ ジー被ばく健康調査団に民医連の医師が参加しました。02年の原水爆禁止世界大会には、全国各地の民医連の職員、共同組織から約1500人が参加しまし た。核戦争の危険がかつてなく高まっています。7月にはじまった被爆者の原爆症認定集団訴訟を支援するとりくみと合わせ有事法案阻止のたたかいを強めま しょう。
6月に中央社保協としてとりくんだ北九州・福岡市等国保現地調査を通じて、事実上、国民皆保険が空洞化していることが明らかになりました。資格証明書発 行世帯の受診率は一般の国保加入世帯の百分の一ともいわれています。院所の中だけにいたのでは実態をつかむことも「患者になれない苦しさ」を共感すること もできません。深刻さを増す国保問題は、全ての地方自治体に共通し国民皆保険制度の根幹に関わる問題であり、生存権保障としての視点が重要です。国保中断 患者訪問などで事実をリアルにつかむことを基礎に、国庫負担を1984年以前の45%の水準に戻す運動や自治体に改善を求める運動を強めましょう。
介護保険をめぐって各自治体は第二期介護保険事業計画の策定に入っており、03年4月には介護報酬改定や介護保険料の見直しが計画されています。この事 業計画は単なる負担と給付の問題にとどまらず、老人保健福祉計画とあわせて、各自治体の03年度から向こう5カ年にわたる施設・在宅の基盤整備、高齢者福 祉施策全般にまで影響を及ぼしうるもので、私たちが掲げる「安心して住み続けられるまちづくり」の視点で自治体への政策的対応を迫る運動が必要です。ただ ちに自治体の介護給付実績や計画の分析評価を行い、地域の実態や要求にふさわしい計画づくりに向け提言型の改善要求運動にとりくみましょう。介護保険事業 の実績を踏まえ、国が行う減免制度の実現やサービス不足の解消、低報酬改善が保険料にはね返らないよう公費負担の増額を求める運動、介護報酬改善の運動を 強めていかねばなりません。同時に制度改善のたたかいと一体化させ、民医連の介護事業をいっそう推進しましょう。この分野は医療・経営構造転換の重要な柱 であり、たたかいと対応を統一してすすめる体制づくり、なかでも事業と運動の推進役を担う
事務幹部の配置を積極的に検討しましょう。
薬害ヤコブのたたかいはねばり強い運動で全面勝利をかちとりました。要求と運動あるところに民医連はあります。共同組織の仲間とともに力をあわせ、地域 社保協を強化し、医療改悪のたたかいを通じて広げた共同の輪をさらに広げましょう。長野県知事選挙、基地問題をかかえる10月31日告示の沖縄知事選挙を 支援します。来年春の統一地方選挙には、地域住民の要求をかかげて積極的にとりくむ準備をしましょう。共同組織月間の成功とあわせ秋からのたたかいについ ての意思統一と交流を目的に、9月13~14日、県連事務局長・社保委員長・共同組織委員長・共同組織連絡会代表者会議を開催します。
医療・経営構造の転換をすすめよう
1970年に7.1%だった日本の人口に占める65歳以上の割合は21世紀に入った今日、17.3%を超 えるなど少子高齢化が急激にすすみ、疾病構造も大きく変化してきています。これまでの診断・治療中心から健康づくり、医療と介護・福祉の連携、安心して住 み続けられるまちづくりへの関わりを必然としています。医師問題の解決もまったなしの課題です。
あいつぐ医療・社会保障の制度改悪や診療報酬のマイナス改定、介護保険の制度化などで私たち民医連の経営構造は大きく変化し、これまでの延長線上では立 ちゆかない状況があります。01年決算は81%の法人が黒字となり、昨年に続いて好調な結果となりました。しかし02年度に入り、急速に経営状況は悪化し ています。第一四半期(4~6月)、全国25モニター法人の対前年度対比では患者数が入院で98%、外来で96.4%、事業収益が97.7%と大きく落ち 込み、健診収益や介護事業収益の伸びをもってしてもカバーしきれていないのが現状です。この第一四半期、25のモニター法人合計経常利益は赤字に転じ、前 年比10億円以上の減益となりました。保険薬局の経営も同様の傾向です。診療報酬と医療改悪の影響が顕著です。きびしさを増す経営問題を直視し、職員、労 働組合、共同組織の中で情報を共有し、改善にむけ総力をあげたとりくみが重要となっています。
診療報酬の再改定を求める運動や10月からの6カ月超の長期入院患者への特定療養費化(差額徴収)を許さないたたかいを医療関係団体と連携してとりくみ ます。4月の診療報酬改定で新たに拡大された特定療養費に関する考え方と対応方針をまとめました。「可能なかぎり徴収しない」ことを原則に、たたかいと対 応をすすめます。
全日本民医連は第33回総会以来、医療・経営構造の転換をよびかけてきました。それは時代の要請であり、地域の期待であり、職員の働きがいを見い出し、 21世紀初頭の民医連運動の土台を築く運動です。これらのとりくみを通じて自らの手で民医連運動の新たな展望をつくりあげねばなりません。今回開催した病 院・診療所2つの医療・経営構造転換全国検討会は、昨年末の医療活動委員長会議、第35回総会と診療報酬改定などその後の情勢を踏まえて開催したもので す。民医連で多い中小規模病院役割がますます重要になっています。大いに議論し存在意義を輝かせましょう。歯科分野の医療・経営構造転換を検討する院所代 表者会議を9月下旬に開催します。
2003年8月にむけての第四次医療法対応、2004年4月実施の医師卒後研修必修化など、県連、法人、院所が求められる対応はまったなしです。いかに主体的・能動的にとりくむかが重要です。
転換をすすめる上では、第一に医療・社会保障をめぐる情勢認識を一致させること(政策動向、地域分析、自院所のポジショニングや主体的力量)、第二に転 換にあたっての「視点と方向」を確かなものとして確認し合うこと、第三に転換の「内容」をより確かなものとして練り上げること、第四に転換の「プロセス」 (医師集団、職員集団、地域と共同組織)を重視することが大切です。また県連や地協ともよく協議することが重要です。
今回、二つの転換検討会への問題提起、資料、検討会の概要とまとめを『民医連資料別冊』として2万部発行しました。医師集団、職員集団、共同組織などで 大いに活用して、全国各地で創造的なとりくみをすすめましょう。医療評価機構の受審セミナーを10月12日に開催します。医療・経営構造の転換には様ざま な困難がともないます。全日本民医連としても各県連、法人・事業所に対して最大限の援助をするために、「転換なんでも相談」を受け付けます。
医療・福祉の安全性、質の向上をすすめよう
2000年8月から開始した医療安全モニターは02年2月までに1200件を超えました。医師からの報告 が増加しています。行為別の特徴は転倒転落事故が最も多く、約4割を占め、ついで誤注射事故が2割近くとなっています。この2つの行為で約6割近くを占め ます。全日本民医連は現在、転倒転落事故の分析を行っており、9月の看護活動研究交流集会で報告します。また誤注射事故について労働科学研究所に依頼し分 析を行っており、近く「注射事故予防の考え方」をまとめます。各事業所においてもインシデントおよびアクシデントの報告制度が定着してきていますが、今後 は事例を分析し、事故を繰り返さないようにする具体的な対応が必要です。下越病院で起きた塩化カリウム誤注射事件に際して、緊急調査を踏まえ通達を出しま した。感染ガイドラインは普及が3万部を超え、外部からの注文も増えています。新入職員などへの普及と徹底をすすめます。
98年10月に発生した川崎協同病院の「事件」に対し、全日本民医連は4月20日付で医療活動部長談話を発表し、見解を述べるとともに、7月に開催した 医療・経営構造転換検討会を通じて、全ての事業所で終末期医療など身近な医療倫理問題での検討と医療倫理委員会の設置、医療管理のあり方や民主的集団医療 体制の点検、見直し、リスクマネージメントの確立をよびかけました。7月末、現地川崎医療生協内部調査委員会及び外部評価委員会報告が出されました。2つ の報告を全日本民医連として普及します。この内容は外部評価委員会が指摘するように、全ての事業所、医療従事者が遭遇しうる問題であり、医療界全体の「安 全文化を育む」立場でとらえ見直すことが重要です。
川崎医療生協は8月総代会を開催し、この間の事件と経営・管理運営をめぐる総括と再生にむけた方針を確認し新体制を発足させました。全日本民医連は日本 生協連医療部会とも協議しながら神奈川民医連とともにひき続き必要な援助を行います。
私たちは民医連綱領と医療・福祉宣言を持ち、医療生協の病院・診療所を中心に患者の権利章典を持っています。しかし、掲げる理念と実践との乖離(かい り)がなかったかどうか、危機に際しての管理運営の水準はどうかなど見直し、改善し、人権を守り安全・安心・信頼の医療にふさわしい組織文化、安全文化を 確立し、高めていくことが重要です。この問題への国民の期待に応えるために、全ての事業所の最重点課題としてとりくみを強めましょう。全日本民医連として 医療事故発生時の対応にあたっての考え方をまとめるためにプロジエクトを発足させます。また、全日本民医連として医療事故をなくす真摯な努力をすすめると ともに、医療事故の原因を解明し、再発を防止するために公正中立の立場の第三者機関設置を医療関係団体、政府によびかけます。
医師の確保と養成、医師問題の改善に全力をあげてとりくもう
02卒新卒医師のこの春の民医連への入職は116人でした。03卒の入職予定が8月現在63人で90年代 以降では最も少ない到達です。第35回総会は2年間で300人の受け入れを確認しました。医学生は今、04年からの研修必修化にむけどんな医師になるの か、どこが研修先にふさわしいのか関心を高めており、大学や臨床研修病院めぐりを行っています。民医連の臨床研修病院、民医連の医師研修の実際が医学生の 関心や問題意識にかみ合うものになるのか、これから年末にかけて重要な局面を迎えます。04卒も実質来春には研修先の登録が求められているなど事態は激変 しており、03卒と合わせた対策が必要です。
厚生労働省は、04年必修化にむけ臨床研修病院の指定要件や研修カリキュラム、研修医の身分保障などをめぐって作業をすすめており、8月末にも概要が出 される予定です。議論はこれまでの大学中心の研修から、救急、中小病院や診療所、老人施設など含めた総合的な力量を養成する方向に向かっています。この方 向は、これまで民医連が主張し実践してきた内容です。一方、財源問題を含め様ざまな問題をはらんでおり、改善をめざしたたかいをすすめます。02卒研修医 受け入れでは、ほくと医療生協やみなと協立病院、大手町病院などで、具体的な医師像と研修システムを示し、医学生の心をつかんだとりくみが行われ、大きく 成功しています。これらの経験に学ぶことが重要です。一方、各地協を中心に民医連における研修システムや内容、研修条件の整備がすすめられていますが、医 学生に「像」を示し得ない状況もあり、整備が急がれます。医学対と研修問題は民医連運動のカギを握る課題です。全日本民医連のアピールを踏まえ、臨床研修 指定病院強化のために、地協、県連、法人・院所幹部の総力をあげたとりくみを強めましょう。
ひき続き医師問題が重要な焦点です。民医連の医師集団は人権を守り、平和を愛する仲間です。この集団がいきいきと医療活動と民医連運動のリーダーとして の役割を果たすためには、今すすめている医療・経営構造転換の論議に、積極的に参加し、自らの生きがいと結びつけた論議を行うことが必要です。医師の退職 理由は多様ですが、多くは孤立感を感じたときに生まれがちです。民医連の医師(集団)が育つ土壌とは、絶えず新しい仲間が増え、医療情勢、地域の医療要求 に日常的に触れる機会があり、県連・法人・院所の情報が共有され、意思決定過程に参加ができ、またそれぞれの医療活動や研究活動が仲間や他職種の中で評価 され、評価しあう関係があることではないでしょうか。医師労働の過重負担解消とあわせ、医師(集団)とパートナーシップを組む事務幹部の関わりを強めるこ とが重要です。
民医連青年の成長への援助をすすめるとともに、すべての事業所で第2回評議員会までに医療・福祉宣言をつくりあげよう
第35回総会では、30歳未満の青年職員が34%を占める現在、この年代の青年職員がいきいきと主体的に 民医連運動に参加できるよう援助をよびかけました。来年10月沖縄で行う全日本民医連青年ジャンボリーはその結節点です。地協や県連、法人・事業所でよく 相談にのり、日常的にジャンボリーや青年の自主的なとりくみを援助しましょう。ジャンボリー実行委員会が6月に出した「行動提起」を全ての民医連青年にと どけましょう。
第35回総会決定を学ぶ教育学習月間は「自分の県連、法人・事業所に引き寄せ、自分の言葉で語ろう」を合い言葉に、学習と事業所単位の医療・福祉宣言づ くりをすすめることをよびかけました。各事業所・職場での学習が重視され、たたかいや医療・福祉宣言づくりと結合したとりくみがすすめられました。地協や 県連では講師養成講座やニュースを発行して経験を普及するなど事業所、職場のとりくみを援助しました。
大運動と結びつけ、新入職員研修として実行委員会を組織して国会行動に300人の青年職員を組織した東京や山梨、群馬、新潟はじめ、ホームレス調査(熊 本)や気になる患者訪問など様ざまな行動と結びついたとりくみが行われました。総会学習は全国的に2583回、参加者は2万6000人となりました。総会 参加者、幹部が講師活動の先頭に立ち「自分の言葉」で語る努力が見られました。また感想文コンクール(山形)、7回145人の青年が参加した「青年なんで もトーク」(石川)、「山宣ツアー」(大阪)など創意的なとりくみが行われました。
医療・福祉宣言づくりでは秋田民医連が全事業所・全職場で作成した他、福岡・親仁会はじめ、少なくない事業所・職場でとりくまれ(事業所作成率 24.2%)、「宣言づくりは民医連の人づくりの運動」「職場討議の中で共通の土台が確認された」など職場づくりとも関わって貴重な成果が生まれていま す。全日本民医連医療・福祉宣言を携え医療改悪反対のたたかいの中で他団体との対話を行っている県連もありました。全日本民医連は医師会、歯科医師会はじ め医療関係団体、民主団体と医療・福祉宣言を持って懇談をおこないました。
同時に、他の課題におわれ、体制が確立出来ないまま、月間が不十分に終わった県連、法人・事業所もあり、格差が生まれています。学ぶ風土が大切です。総 会方針に絶えず立ち返り、来年2月までにすべての事業所がつくることをよびかけます。全日本民医連として今後、幹部養成の問題、職員の健康管理の問題、職 場教育と職場づくり、青年職員への援助を重点にとりくみます。
共同組織強化、『いつでも元気』の普及に努めよう
大運動を通じて、各地で共同組織が大きな役割を果たしました。共同組織の到達は286.5万となり、『い つでも元気』は4万6746部となっています。いつでも元気を02年度中に5万部達成、300万共同組織を03年度月間終了時までに達成することをめざ し、新目標を提起し、02年度「10~11月」を月間としてとりくみます。
今地域では、少子高齢化の進行も相まって、シャッター通り商店街といわれる現象や不況、倒産などによってまちのコミュニティーが崩れてきています。その ような中で「安心して住み続けられるまちづくり」は、今日的にいっそう重要なテーマとなっています。私たちは医療・介護・福祉を拡充させる立場から、住民 組織や他団体などと共同して行政にも働きかけて、だれもが「安心して住み続けられるまちづくり」めざしていっそう奮闘します。積極的に地域に出かけ、「地 域」から民医連の院所や事業所の役割を見直すことを重視します。助け合い制度などの工夫、各地の経験を交流し共同組織を地域になくてはならない存在とし て、発展させていきましょう。
また共同組織と民医連事業所との「共同」は院所利用委員会や医療倫理委員会への参加、「転換」論議への参加、医学生対策や職員教育へのかかわり、出資金 や地域協同基金への参加などあらゆる面で広がっています。この分野での共同を強めましょう。現在、20県連を超えて県段階での共同組織交流連絡会がつくら れ、まちづくりや健康づくり、医療への参加などのテーマで交流が行われています。第7回共同組織連絡会交流集会を、03年9月7~8日に東京で開催しま す。東京で開催されることもあり、従来の倍、2000人規模の集会を予定しています。積極的に位置づけ成功させましょう。
民医連組織の強化をすすめよう
全日本民医連理事会は第35期「より現場ぎわで、より総合的に」を合言葉に理事会運営や部委員会活動の見直しを行い、また地協活動を積極的に位置づけとりくみを開始しました。一法人、一事業所の努力だけでは前進が困難な時代です。県連機能強化がより重要となっています。
83年に負債総額230億円を抱えて倒産した山梨勤労者医療協会は19年にわたる再建闘争をへて、今年5月、甲府共立病院を自分たちの力で完成させ、新 たな出発を行いました。福岡・健和会はこの4年間で33.5億円を超える経常利益を生み出すなどの成果を踏まえ、10年間の民医連的再建闘争を総括し、中 原病院の新築など新たな事業計画を含む再建計画を確認しました。
全日本民医連が主体となって、この10月に「非営利・協同研究所 『いのちとくらし』」を多くの学者・研究者の賛同を得てNPO法人として発足させる予 定です。研究所は「地域に人権と非営利をめざす共同の輪を~平和・人権・福祉の新たな日本」(第34回総会)をめざす上で、医療や福祉の現場と結びついた 医療や社会保障のあるべき姿を描く理論政策活動が期待されています。また「非営利・協同」の組織として地域住民と組織的に結びついた民医連経営のあり方を 実践的に探求する場でもあります。全日本民医連として積極的に位置づけるとともに全ての県連の参加をよびかけます。
全日本民医連共済年金制度を6月に共済組合総会で改定しました。将来にわたって存続できるよう理解と納得を深めていくことをひき続き重視します。
きびしい医療経営環境のもとで、全国的な「連帯基金」制度のあり方について探求が必要です。これまで出されている意見を踏まえ、より現実に即した制度と なるよう全日本民医連理事会のもとにプロジエクトを再発足させ提案を準備します。各県連で医療事業協同組合などが結成され共同購入のとりくみが活発になっ ています。
第36回総会を埼玉で開催します。加盟事業所数が増加する中で、総会規模との関係でその都度代議員選出基準を見直さなければならない現状を改め、総会規 模を600人程度に縮小するとともに、全国方針を議論するにふさわしい運営形態に見直しを行います。また加盟組織のあり方や会費問題の検討をすすめ、第2 回評議員会にむけて提案を準備します。
全日本民医連は03年6月7日に創立50周年を迎えます。50年の歩みをふり返るとともに、未来にむけて新たな前進を期す機会として03年を50周年イ ヤーとして位置づけ、記念事業を行います。そのため理事、評議員などからなる実行委員会を発足させ準備をすすめます。
おわりに
来年は全日本民医連創立50周年の節目の年となります。きびしい情勢はしばらく続きますが、我流に陥ることなく学び合い、前進をめざしましょう。それらの経験を来年2月の第2回評議員会に持ち寄りましょう。