第34期第3回評議員会方針
はじめに
数カ月前には森内閣の支持率が一桁台に落ち込み、自民党政治に国民の怒りが渦巻いていました。そして今 日、「自民党流政治を変えてほしい」という閉塞感と期待感が小泉首相への異常に高い支持率となり、参議院選挙や都議会議員選挙で自民党が議席を増やしまし た。まさに激変の時代であり、せめぎ合いの時代といえます。
小泉内閣の「構造改革」は、国民の期待に応えるものでなく、国民生活の苦難を増大させる内容です。とりわけ医療や社会保障制度の大改悪をねらっており、 広範な人びとの連帯による反撃が必要です。この間、ハンセン病違憲国家賠償請求訴訟で原告団と支援者の奮闘で勝利判決がかちとられました。医療従事者とし て、ハンセン病患者への90年にわたる人権侵害をあらためて問い直す必要があります。直接診療にあたる機会はほとんどなかったとはいえ、強制隔離は必要で ないことを医学的に知りうる立場にありながら、このような人権侵害に問題意識をもてなかった私たち全日本民医連は、患者さんたちに謝罪し、率直に反省する ものです。ひきつづき人権回復のための支援にとりくむ決意です。
第3回評議員会方針は、第1に、医療や社会保障の大改悪を阻止する秋からのたたかいと共同組織強化の課題を結合させてとりくむ意思統一をはかること。第 2に、第34回総会方針で提起された、「医師問題」や「医療・経営構造の転換」など残された課題について深めること。第3に、すべての院所・施設が次期総 会までに医療・福祉宣言をつくり、「全日本民医連の医療・福祉宣言(案)」の討議をよびかけることを目的とするものです。
第1章 私たちをめぐる情勢の特徴
(一)国民の願いと乖離した小泉内閣の「構造改革」
小泉首相がかかげる「改革」とは、不況と倒産・失業の増大・貧富の差の拡大・医療や福祉の切り捨てなど、国民生活にたえがたい痛みを押しつける、自公保政治がつづけてきた新自由主義的な弱肉強食の国づくりそのものです。
6月に経済財政諮問会議がまとめた「骨太方針」(「構造改革の基本方針」)では、「不良債権問題を2~3年内に解決する」としています。これが実施され れば、深刻な不況にあえぐ中小企業は次つぎと倒産に追いこまれ、100万人をこえる失業者が新たに生み出されるといわれています。国民のいのちと生活に とって大切な社会保障制度は、「自助と自律」を基本とし、国の責任を放棄する内容となっています。医療制度の改革について、「構造改革」の中心課題の一つ として位置づけ、きわめて具体的かつ抜本的な改悪内容を提示しているのが特徴です。医療費総額の伸びをおさえこみ、とくに高齢者医療費の伸びを抑えるため の新たな枠組みづくりを急ぐとしています。また、医療の公共性を否定し、病院間の競争をあおり、患者負担を増やすことで医療費を抑制できるとしています。
小泉首相の「国民が痛みを分かち合う」という考えは、社会的弱者の痛みの重さを無視したものであり、政治が本来果たすべき役割や責任を放棄したものです。
秋に向けては、「骨太方針」の具体化として「保険者によるレセプト審査」や「株式会社による医療機関経営の解禁」などが急速に具体化されようとしていま す。また、すべての高齢者から保険料を徴収する「新たな枠組み」としての高齢者医療保険制度の創設を柱とした老人や健保本人の大幅な患者負担増を内容とす る、厚生労働省案が出されようとしており、「医療抜本総改悪」に反対するたたかいが重大な局面に入ります。
(二)深まる国民生活の苦難と医療・介護をめぐって
国民生活の苦難は、いっそう深刻になっています。失業者は340万人をこえ、自殺者は3年連続で3万人、 ホームレスが3万人など、「痛みをガマンできる」実態ではありません。医療・介護をめぐって、1月以降の老人保健法改悪によって、「受診回数を減らさざる をえない」など、深刻な事態が広がっています。
とりわけ、国保問題をめぐって全国各地で矛盾がひろがっています。「年収300万円の4人世帯で保険料が40万円」など、高すぎる国保料と長期不況によ る「リストラ、失業」などによって370万におよぶ滞納世帯が生まれています。改悪された国保法のもとで資格証明書・短期保険証の発行が急増しています。 また、保険料徴収も「国保保険料(税)を商工ローンから借りて支払った」「徴収員が入院中のベッドサイドまでとりたてにきた」「分納の約束をしたのに肺気 腫で入院した患者さんに資格証明書が発行された」など、人権をふみにじる不当な対応が行われています。この間、中央社保協を中心に国保問題について市長 会・国保中央会と懇談を行い、国保改善にむけたあらたな運動方針も提起されています。多くの自治体では、7月から9月ごろにかけて、国保保険料の決定通知 や「資格証明書」交付の際の「特別事情に関する届け」を各家庭に通知します。国保をまもるたたかいが重要な局面に入っています。
「2000年介護実態調査」はすべての県連でとりくまれ、2万2202件の在宅サービス利用者の実態が集約されました。利用者の約4割が、本人年収 100万円未満もしくは非課税世帯の低所得者であること。介護保険実施により75%の人が負担増となり、月1万円以上も負担が増加していること。サービス の利用率は四割前後にとどまり、サービス利用を減らした人が12%以上もいること。介護者の負担は軽減されておらず、「介護の社会化」にはほど遠い実態で あること。とくに、低所得者層・独居・身障者に矛盾が集中していることなどが明らかになりました。
また、特別養護老人ホームの待機者が急増しています。10月から介護保険料の全額徴収が予定されています。低所得者・世帯対策をはじめ、介護を必要とす るすべての高齢者にゆきとどいた介護が保障されるよう、「保険料の全額徴収を延期せよ」「保険料・利用料の減免措置を」など制度改善の運動を強めていく必 要があります。
(三)平和と民主主義など憲法をめぐって
新ガイドラインのもとで「深夜に戦車が町中を走り、北海道の演習場に向けてフェリーで移送された」「民間 港に護衛艦が一度に五隻も入港した」などの危険な動きが全国に広がっています。北海道北広島市での「戦闘機の機関砲誤射事件」は、国民生活にせまる戦争の 危険を実感させるものでした。また、沖縄では米兵による婦女暴行などの犯罪はあとをたたず、県民の怒りが広がっています。日米両政府は、地位協定の運用改 善でことをすまそうとしていますが、地位協定の抜本改定と基地の縮小・海兵隊の削減撤退をもとめ、このたたかいの前進に力をつくします。日米首脳会談で、 集団的自衛権の必要性が重要議題として議論されましたが、これまでの後方支援から積極的な戦争への参加に道をひらく危険なものです。地球温暖化にかかわる 京都議定書問題でも、小泉内閣は、これをご破算にしようという身勝手なアメリカのいいなりです。
小泉首相は「8月15日の靖国神社公式参拝」を公言し、国内とアジア諸国の痛烈な抗議の中で「13日参拝」を強行しました。過去の日本による「アジア侵 略」など、歴史を歪曲し国際問題となっている「新しい歴史教科書」が検定に合格し、教育委員会が採用を後押しする自治体もうまれました。「奉仕活動の義務 化」や教師に対する統制を強化する内容をもつ「教育三法」の改悪も強行され、「教育の反動化」が新たな段階に入っています。
こうした中で、教育関係者や地域のさまざまな団体や個人の運動によって、「新しい歴史教科書」の採用校が全国で1%未満にとどまったことは、良識と平和を願う運動の重要な成果でもありました。
いまこそ、平和・民主主義・教育をめぐってすすむ憲法「改悪」への流れをくい止めるたたかいが大切となっています。
(四)選挙結果をふまえて、連帯と共同の輪をさらに広げよう
自民党など与党3党は、選挙での議席増をうけて、「改革」の具体化をはじめています。政府財務省は、来年 度予算の概算要求基準で、社会保障関係で3000億円にもおよぶ国庫負担削減をすすめようとしています。人口の高齢化にともない、年金・医療・福祉の自然 増を1兆円と試算していましたが、それを7000億円に抑制するもので、結局は医療費抑制や患者負担増でのりきろうとしています。
選挙中に、「介護保険の利用料を減らして」「福祉をこれ以上削らないで」など国民の医療や社会保障に対する切実な願いや声がよせられました。小泉「改 革」によってもたらされる医療や介護・福祉での具体的な改悪内容を知らせ、怒りをたたかいにつなげるとりくみが必要です。日本医師会や日本病院会など医療 関係団体からも医療改悪に対して強い懸念が表明されています。
いま、「脱ダム宣言」が行われた長野県で、公共事業予算を削減して福祉予算を充実し特養建設がすすむなど、私たちが主張してきた無駄な公共事業を削って 社会保障の充実をという主張が実をむすぶ変化が各地で生まれています。いまこそ国民的ねがいを結集し、国政の革新をめざす連帯と共同の輪を急速に広げま しょう。
第2章 次期総会にむけた秋からの主なとりくみは
(一)秋からのたたかいで医療や社会保障の大改悪を阻止し構成員300万・『いつでも元気』5万をめざす共同組織の強化を
民医連は共同組織とともに、国民医療の改善をもとめる1000万署名や健保改悪反対一八〇〇万署名、昨年 の介護保険の充実をもとめる1万5000回の懇談会やシンポジウムの開催などのとりくみで、社会保障の改悪をゆるさず、国民医療をまもるたたかいの牽引者 としての役割を果たしてきました。
小泉内閣の「構造改革」に対して、全国各地から、さまざまな分野で、広範な国民が連帯し共同して、反撃に立ち上がるべき重要な時期をむかえました。とり わけ、日本の医療や社会保障の将来のあり方にも大きな影響をおよぼす「骨太方針」に対して、生活実態の中からまきおこっている怒りをあつめ、従来の枠をこ えた幅広いたたかいが必要です。
また、要求実現のたたかいを地域からおこし、民医連運動をより豊かにし、どんな攻撃にもゆるがない連帯をきずくうえでも、共同組織構成員300万・『いつでも元気』五万部の達成は、当面の重要な課題です。
全日本民医連理事会は、秋からの医療・社会保障大改悪阻止のたたかいと共同組織強化の大運動を結合させてとりくむことをよびかけます。そのため、全日本 民医連理事会として「特別推進体制」を確立してとりくむ決意です。各県連理事会や法人・院所施設でも特別体制を確立し、8月中にとりくみの方針と体制を確 立しましょう。9月1日に全日本民医連学習決起集会を開催し意思統一をはかります。9月から全国各地で一斉に大運動を開始しましょう。
たたかいを大きく広げて
?この間の社会保障学習月間で学んだことを力に、小泉内閣の「構造改革」の危険な内容を検証し、運動をすすめましょう。
?介護実態調査をいかした介護保険制度の改善要求項目をまとめ、国保をまもる要求、乳幼児医療費無料化など各自治体へのきめ細かな要求運動を重視しましょう。
?共同組織とともに2万回の班会・懇談会を開催し、「安心して住みつづけられるまちづくり」の運動に発展させましょう。
?これまで結びつきのなかった団体や個人との対話を重視し、連帯と共同の輪を広げましょう。地域社保協は245地域に広がっており、一層組織強化をはかりましょう。
?全日本民医連は中央社保協や国民大運動実行委員会などと相談し、幅広い団体、個人に呼びかけ秋に国民大集会などを企画し反撃していきます。保団連とも連 携し、医師会など医療関係団体との共同のとりくみを重視します。各地協、各県連、各地域でも創意ある集会など適宜企画しましょう。
共同組織の量的・質的強化をめざして
6月に開催された第6回共同組織活動交流集会では、各地から安心して住み続けられるまちづくりや平和と民 主主義のとりくみが、多彩に、力強く、着実に、地域の中で広がっていることが報告されました。共同の営みとしての医療・経営活動への参加、医学生の受け入 れと養成活動への参加など、とりくみの内容が大きく発展しています。地域でも、民医連運動でも、共同組織がなくてはならない組織として、巨大なエネルギー を発揮していることを確認しあいました。次期総会までに、構成員300万・『いつでも元気』5万部を達成するために総力をあげましょう。
?法人や院所施設で、それぞれの年度目標をやりきる立場にたつことです。県連段階でも、「構えを大きく」し、300万・5万部に見合う県連目標をたて、積極的な提起と指導性を発揮する必要があります。
?昨年の共同組織強化発展月間(3カ月間)で9万の構成員をふやしました。今回は数字的には2~3倍の運動量が必要です。全職員が力を出し合うと同時に、共同組織と十分な協議を重ねて共同のとりくみにしましょう。
?来年2月末まで半年間あります。県連や法人で独自に「節」や「強化期間」を設定し、楽しい企画もとりいれながら、交流などを適宜行い創意ある運動をめざしましょう。
(二)情勢の変化をふまえた医療・経営構造の転換の論議と対応を
安全・安心と信頼の医療をめざし、院所施設で「医療情報の公開・徹底分析・教訓の共有・患者の参加」の立 場での総合的とりくみが前進しています。医療の安全性の問題を世に問いかける運動として、医団連主催のシンポジウムを開催しました。医療の安全モニター報 告で件数が多い、転倒・転落や誤注射事故について分析し、具体的改善策をまとめる作業をすすめています。全日本民医連感染制御ガイドライン2001年版 『みんなではじめる感染予防』を普及し、全職員の持続的・継続的なとりくみにしましょう。
2000年度経営集計の結果、経常利益で81.8%の法人が黒字決算となり、80年以降最大の黒字比率になりました。集計法人合計の利益剰余金も、統一 会計基準制定後はじめてプラスになりました。厳しい医療情勢のもとで、全職員の努力と共同組織の協力でかちとられたものです。
第四次医療法改悪のもとで、医療・経営構造の転換が、もっとも重要な課題になっています。各法人レベルでは、療養病床への転換にともなう病院の増改築や 移転新築、近接診療所を建設しての病院外来機能の移動など、さまざまな検討がおこなわれています。
第四次医療法への対応は、経営的な視点だけでなく、患者さんや地域住民の医療・福祉の要求にどう応えていくのか、安心して住み続けられるまちづくりにど うかかわるのかという視点から、積極的に位置づけていくことが大切です。各県連、法人・院所で、総合的な計画を立てて、共同組織とも十分協議しながらすす めましょう。とくに、管理部はもちろんのこと、医師集団をはじめ、全職員が情勢認識を一致させ、自らの問題として立ち向かう決意を固めることが必要です。
第四次医療法に的確に対応するためには、病院機能の再編やそれにともなう医師配置の変更など、法人レベルをこえた対応も必要になります。法人まかせにせ ず、県連的にも論議すべき課題です。医療・経営構造の転換は、多額の資金を必要とし、経常利益率5%の達成や、出資金増強、地域協同基金の結集など、資金 的な裏付けをともなった計画作成が必要です。また、医療・経営構造の転換と新しい医療目標づくりの論議に、医師集団が積極的にかかわることが大切です。地 域の医療要求に応えるための医療内容、医療技術は何なのかを、あらためて論議しましょう。
多くの病院で一般病床から療養病床への転換がすすんでいます。これまで、療養病床は、医師や看護婦集団全体からみると少数の人びとが担ってきた分野です が、これからは集団全体としての対応が求められることになります。全日本民医連としても、療養病棟の医療活動のあり方について、病院委員会を中心に論議を 開始します。
(三)医師問題の打開のために
01卒医師受け入れの到達は109人で、この春122人の新しい研修医を迎えました。民医連の常勤医師数は3000人を初めてこえ、日本の総医師数の1.2%です。
新卒医師の受け入れの困難や退職に示される医師問題の打開のために、この間、民医連組織をあげた論議と努力をおこなっています。医療・経営構造の転換の 論議とむすびつけて、医師労働の軽減と適正化の論議がはじまっています。各地の経験を学びながら、具体的な目標と方針を定め全体のとりくみにしましょう。
2004年の医師の臨床研修必修化にむけて、?臨床研修病院を軸にした地協ごとの研修整備、?日本の研修制度を改善する運動、?民医連の研修水準のいっそうの向上、という柱でとりくみを強めます。
医師問題を打開していくうえで、医学生対策は要をなす課題です。しかし、02卒決意者の到達点は7月20日現在、70人とこの20年間で最低となってお り、極めて重大な事態です。県連や法人・院所の指導部は、緊急にこの事態を打開する構えと体制をとることが必要です。特に、大規模県連が全国的なとりくみ の先頭に立つこと、重点的な大学への全日本・地協の力を結集した働きかけ、共同組織でのとりくみなどが重要です。
大学の研修医の過労死事件などをきっかけに、日本の医師の深刻な労働実態が社会問題になっています。それと関連して、卒前卒後の医学教育の改善にむけた 医学連を中心としたとりくみが、マスコミで大きくとりあげられ社会的な注目をあつめています。民医連として、医学生ゼミナールなどの医学生の自主的な学ぶ 活動を励まし協力を強めます。
(四)民医連の医療・福祉宣言づくり
第35回総会までにすべての院所・施設で宣言を
「全日本民医連の医療・福祉宣言(案)」が発表されましたが、院所施設の宣言づくりは、独自にとりくまれ るべき課題です。全日本の宣言と院所施設の宣言を、車の両輪として位置づけています。地域により密着し、創造性と具体性をもった内容であることが院所施設 の宣言の特徴です。
診療所や薬局などでの宣言づくりとくらべて、病院でのとりくみが遅れています。職場の宣言づくりの発表会は行われていますが、病院全体としての宣言づく りが決定的に遅れています。今日、宣言づくりの運動は、これからの院所・施設のありかた、医療・経営構造の転換や医師問題の打開などの課題、さらには役職 員の働きがいの問題と深くかかわっており、宣言づくりは全体の課題の結節点でもあります。院所施設の管理部が指導性を発揮し、来年2月の全日本民医連総会 までに、すべての院所・施設で宣言をつくりあげましょう。すでに宣言ができているところでも、その後の実践をふまえて、見直し・充実をはかりましょう。
県連は、各院所・施設のとりくみの促進のために、経験交流の場を持つなど積極的な役割を果たしましょう。
全日本民医連の宣言案の討議を
全日本民医連では、医療・福祉宣言一次案についての意見を集約し、その後の情勢の進展と民医連運動の発展をふまえ、医療・福祉宣言委員会として「二次案」の作成をすすめてきました。
全日本民医連の宣言は、患者・共同組織の人びとはもちろん、より広範な国民に向けられたものとすること。民医連の理念・組織の特徴・目標をできるかぎり 一般的でわかりやすいことばで表現すること。一枚の用紙におさまるような短いものとすること。2年に1度の全日本民医連の総会で必要な見直しをしていくべ き性格のものとする、などを留意して検討してきました。
第18回定例理事会において理事会案として発表することにしました。次期総会で決定できるよう、県連や院所施設での討議と意見の集中を呼びかけます。全 日本民医連として近ぢか共同組織連絡会との懇談を行い、また11月ごろに他団体や学者・研究者などの意見を聞くつどいを開催します。
(五)第35回総会までの主なとりくみ
9月、京都で行われる第5回学術・運動交流集会は、次期総会方針づくりにつなげる重要な意義をもっています。「新しい世紀!共同の力で平和と福祉の国づくり、まちづくりをすすめよう!」など3つのメインテーマにふさわしい内容で、大きく成功させましょう。
11月に開かれる県連医活委員長会議は、転換期における民医連の保健・医療・福祉活動はどうあるべきかについて論議する予定です。これまでの民医連の医 療活動の到達点と特徴を見つめ直し、時代にふさわしく創造・発展させていくことを深めあいましょう。
10月、奈良で第29回全国青年ジャンボリーが行われます。青年職員の日常的な主体的活動の全国的交流の場として、また、青年職員が視野を広げ成長する 重要な機会のひとつとして県連・院所で積極的に位置づけ、成功のために援助を強めます。
全国連帯基金について、理事会案をまとめました。県連や法人での徹底した論議をよびかけるものです。
民医連運動の発展段階をふまえ、「準ずる組織」の名称、会費や加盟条件など規約に関連する問題、薬剤や福祉分野など組織運営上のあり方、総会の運営や代 議員選出、など組織的課題について組織問題検討委員会を中心に整理・検討をすすめます。
先の民医連共済組合総会で、年金改定案が決定され、一年間の討議に付されました。ひきつづき討議をふかめ、団結と連帯が強まる方向でとりくみます。
全日本民医連第35期の役員体制について、今回の評議員会で次期役員選考委員会を選出し発足させます。
おわりに
21世紀の最初に行われる全日本民医連第35回総会まで、あと半年になりました。私たちは、21世紀初頭にあたって「人権と非営利」「より開かれた民医連」「社会的使命と主体性・民主性」「連帯と共同」のキーワードを大切にしながら民医連運動にとりくんできています。
13人ではじまったハンセン病違憲国家賠償請求訴訟で、熊本民医連の青年職員たちは700人の療養所の人びとに何度もビラを配り、園の中に外の空気を送 り込んできました。「支援の中で学び、医療人としてのあり方を問い続けてきた」と語っています。石川民医連では、元患者の「私をささえてきたものは思想で す。人間に対する愛です。」の言葉に励まされ、「ハンセン病療養所のない県だけれど、暖かく故郷にむかえよう」のとりくみをはじめました。それが、各地に 広がりつつあります。
より一層、人権をまもる立場で、不正義や不道理には激しい怒りをもって、民医連職員や共同組織が地域住民との連帯と共同の輪をひろげ、民医連運動の前進のために奮闘しましょう。