Dr.小池の世直し奮戦記

2014年6月1日

Dr.小池の世直し奮戦記 「生涯ハケン」「正社員ゼロ」 ──労働者派遣法の改悪は許しません

 安倍内閣は、労働者派遣法改定案を今国会に提出しました。派遣労働を「常用雇用」の代わりにしてはならないという、派遣法の大原則をなくしてしまう大改悪です。“「生涯ハケン」を押しつけ、「正社員ゼロ」社会に道を開く”という批判と懸念が大きく広がっています。

派遣の期間制限を撤廃

 これまでも労働者派遣法は何度も改悪され、そのたびに派遣労働者は増え続けてきました。それでも政府は、「派遣労働の常用雇用代替の禁止」「派遣受け入れは一時的・臨時的業務に限定」という大原則には手をつけませんでした。
 この大原則があるために、現行の派遣法では、企業が同じ業務で派遣労働者を使えるのは原則一年間で、最長でも三年間だと制限されているのです。ところが 今回の法案では、企業は派遣労働者を三年で「取り替え」さえすれば、同一の部署でいつまでも派遣労働者を使い続けることができるようになっています。
 派遣労働者の側から見ると、“三年経てば派遣先企業の直接雇用にする”というわずかな「正社員への道」も閉ざされ、別の派遣先を「紹介」されることにな ります。しかもその場合でも、同じ事業所の「別の部署」(たとえば「営業一課」から「営業二課」へ)に配置転換すれば、派遣のままにしておくことが可能で すから、その労働者にとってはまさに「生涯ハケン」になってしまいかねません。

「正社員ゼロ」社会に道を開く

 これは派遣労働者だけの問題ではありません。この法案が通れば、正社員から派遣への置き換えが大規模にすすむでしょう。
 派遣労働が拡大すれば、契約社員やパート、そして正社員を含めたすべての働く人たちの労働条件が悪化し、労働者の「使い捨て」がいっそう広がってしまいます。
 安倍政権は、労働者派遣法の改悪に続き、不安定で低賃金の「限定正社員制度」導入も検討しています。これは地域や職務を限定した正社員を認めるもので、 企業は職場や職務内容を廃止することでいつでも解雇できるという「名ばかり正社員」を可能とするものです。
 さらに正社員にも、裁量労働制の拡大やホワイトカラー・エグゼンプション(事務労働に従事する人を労働法の規制から除外するという意味)によって、「残業代ゼロ」の働かせ方を広げようとしています。
 労働者派遣法改悪案は、労働法制の全面改悪の突破口で、その意味でもすべての働く人たちにとっての大問題なのです。

経済・産業の発展のためにも

 安倍首相は、「企業が世界で一番活躍しやすい国にする」と言います。しかし雇用のルールを弱体化させて、低賃金で不安定な働かせ方と長時間労働を広げる ことが、日本経済と社会を成長させるのでしょうか。国民の暮らしを圧迫すれば、消費も需要も落ち込み、景気も冷え込ませてしまいます。働く人間を「使い捨 て」にする社会は若者から希望を奪い、貧困と格差を広げ、日本社会から活力を奪っています。そんな道を進んでも、日本の産業も、企業も決して強くはなりま せん。
 労働者の「使い捨て」を広げる規制緩和ではなく、人間らしく働けるルールを確立する方向に転換させましょう。

いつでも元気 2014.6 No.272

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