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2014年5月5日

黙ってられない 医療・介護一体改革法案は廃案に 5000人がヒューマンチェーン

 四月二四日、医療・福祉労働者や障害者、年金生活者たちが国会を取り囲みました。その数五〇〇〇人。「輝け! いのち4・24  ヒューマンチェーン」(主催・同実行委員会)。国が担うべき社会保障を「自己責任」へと変質させようと狙う政権に抗議し、国会で審議中の医療・介護一体改 革法案の廃案を求めて声をあげました。

行動は、千葉の開業医(花の谷クリニック)・伊藤真美さん、認知症の人と家族の会副代表・勝田登志子さん、日赤看護大学客員教授・川島みどりさん、済生会栗橋病院の院長補佐・本田宏さんの四人が呼びかけました。全日本民医連も実行委員会に参加。
国会で審議中の医療・介護一体改革法案は、医療法や介護保険法など、十九本にもなる法律の改定を、一括して行おうというもの。病床の大幅削減や、介護保 険からの軽度者外し、医師不足の肩代わりに特定の医行為を看護師に担わせるなど、本来なら個々に国会審議を行うべき重大な内容です。
「もう黙っていられない」―。国会包囲行動に先立ち、日比谷野外音楽堂で行った集会は、入場制限が出るほどの人出に。「輝け!!いのち」のプラカードを掲げた人たちの声で溢れました。

人間らしく生きたいから

集会冒頭、四人の呼びかけ人があいさつ。勝田さんは「法案を廃案にするまでがんばろう」と 訴え、「会」で集めた六万四三〇〇筆超の署名を厚生労働省に提出したと報告。伊藤さんは「こんな重大なことが国民に知らされず、声をあげる場も間もなくす すめられてはだめ。小さな診療所からも声をあげる」と決意を語りました。
「看護は、この世に生まれて良かった、という生を手助けする仕事」と語った川島さんは「国民が健康に生きる権利を守る義務を国は放棄している」と怒りま した。外来を終えて駆け付けた本田さんは「国民がもっと投票に行くようにならないと社会は良くならない。一人でも多くの人に関心を持ってもらおう」と呼び かけました。
続くリレートークでは、医療、介護、障害者、女性など七人が発言。年金者は「安倍首相はこれ以上、国民をいじめるな」と怒りました。相次ぐ年金額引き下 げに一二万六〇〇〇人が不服審査請求に立ち上がりました。「私たちは若い世代のためにもたたかっている。人間らしく暮らせる日本を」との話に共感の拍手が わきました。

国会包囲が成功

予定していた国会請願パレードは、オバマ米大統領の来日で中止になりましたが、国会包囲の ヒューマンチェーンは三時半に完成。包囲成功を報告した川島さんは「四人から始まり五〇〇〇人になった。このつながりを命守る力に」と。呼びかけ人は、集 会で採択したアピール文を内閣府に提出、厚労省へも要請しました。

参加者の声

▼仲間と揃いのTシャツで参加した認知症の人と家族の会東京支部事務局長・長谷川和世さん…このような集会には初めて参加します。要支援1、2の人の介護保険サービスを自治体に移し、その担い手もボランティア頼みという制度見直しは撤回してほしい。また、施設入所の対象は要介護3以上の人、と機械的に決めるのも、家族や当事者の実態を見ていません。
▼長野・諏訪共立病院のケアマネジャー朝倉涼子さん… 「いま行動しなければ」と参加。医療・介護一体改革法案で軽度者を介護サービスから排除するのは許せません。専門職が関わって暮らしを維持しているのに。 一定所得(一六〇万円以上)の人の利用料を二割にする話もひどい。夫婦どちらかが入院でもすれば、生活できません。サービスを切り詰めて状態悪化するのは 目に見えています。
▼大阪・西淀病院の三本松和也さん(事務)…集会をめざして西淀病院とのざと診療所で五〇〇〇筆の署名を集めました。反応は抜群で、カンパや励ましの便りも。また、八〇歳以上の友の会員二五〇軒を訪問し、八割が独居か老々世帯という事態が分かってきました。
▼宮城・長町病院の新入事務職員、橋本さゆりさん。同期の佐々木絵里奈さんと…集会は初参加。新幹線の中で先輩からこの集会の意味を教わりました。高齢者の窓口負担が五〇〇円だった頃もあったそうですね。お年寄りに優しい医療が必要です!
▼視覚障害者の仲間と一緒に埼玉から参加した田中章治さん… 障害者施策は目まぐるしく変わり、公的責任は後退しています。消費税が八%に上がり、社会保障のためと説明されますが、支援が充実した実感はない。障害者 も六五歳になると介護保険が優先され、それまでと同じサービスを受けても一割の自己負担がかかります。自分や家族が年をとったときが心配です。
▼沖縄・中部協同病院の看護師、仲間洋子さん…沖縄は 二〇人で参加。集会後は福島の原発事故被災地を見てきます。東日本大震災が起き、初めてこうした集会に参加する気持ちになりました。命を大切にしない政府 に怒っています。病棟には超高齢で認知症のある患者さんが多く、介護と看護の両方が必要。看護師は不足し、現場は疲弊しています。ここで聞いた話を持ち帰 り、皆に伝えます。

(民医連新聞 第1571号 2014年5月5日)

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