医療・福祉関係者のみなさま

2014年3月17日

孤立には連帯を 分断には共同を 3日目 理事会総括報告

長瀬文雄 事務局長

 三日間の討議を受け、理事会として総会全体のまとめを長瀬文雄事務局長が報告しました。

 全体会、分散会で計九五二本の発言がありました。多くの発言と討論で総会方針案はより豊か に、たくましく育ちました。いずれの発言も“民医連ここにあり”を示すもので、私自身「民医連で働いていて良かった」と心から思いました。三日間の皆さん のご奮闘に感謝申し上げます。
 また昨夜(二月二八日)、長野駅前で行われた「原発をなくせ金曜日行動」には、地元の皆さんとともに多くの総会参加者が駆けつけ、意思を示しました。全 国で中央で「3・9 NO NUKES DAY」やWEEKを成功させましょう。
 「激突の時代」と表したように、あらゆる人権に制限を加え、積極的に戦争をする国に向かおうとする政権と私たちは対峙しています。戦争はいのちを最もないがしろにする行為で、健康の最大の阻害要因です。
 総会では、島根から原発をなくす「みどりのエネルギー条例」制定をめざし、わずか二カ月間で県民の一六%の署名を集めた経験が報告されました。合言葉は 「安心して住み続けられるまちをめざして行動する組織であろう」ということでした。また、名護市長選、東京都知事選、さらには来る京都府知事選勝利に向け て決意が語られました。

被災者をささえる

 圧倒的な国民の意思に反する安倍政権の政策に対し、私たちは団結を固め多くの仲間と連帯し、たたかいたいと思います。
 今から六年前の四月、全日本副会長で長野県民医連会長だった束原進先生が、辺野古での行動中に水難事故で亡くなられました。今年は七回忌に当たります。 私たちは総会の名で故束原先生の意思を継ぎ、絶対に辺野古の海に米軍基地を作らせないことを誓います。
 被災地の人間的な復興なくして、真の復興はありえません。ましてこの機会に乗じて、被災地を企業が活躍しやすい場にすることなど到底認められるものではありません。
 総会では、全国各地から福島をはじめ被災地の仲間や避難者を支援する数多くのとりくみが報告されました。なかでも、双葉町民の甲状腺エコー検診や健康相 談・生活支援では重要な役割を果たしてきました。検査技師や放射線技師が、要請に応えて自ら技術を習得しその役割を担いました。
 今、全国一〇二事業所で甲状腺エコー検診を受け入れています。先週、浪江町長と懇談しました。浪江町から民医連に委託したいとの要請を受けています。全国の力で受け入れ、町民の健康をささえたい。
 「原発事故子ども・被災者支援法」を被災者に寄り添ったものにするため、提案や提言を行います。

方針を創造的に具体化

 今、地域が疲弊し、個人が分断させられ、毎日のように孤独死や介護心中などが伝えられてい ます。総会では子どもの貧困の実態が報告されました。貧困の連鎖という悪循環です。全世代に分断と貧困が蔓延(まんえん)しています。政府がすすめようと している「医療・介護総合推進法案」や今回の診療報酬改定は、これらの状況に拍車をかけるものです。
 私たちは、その狙いをしっかりと見定め、「孤立には連帯を、分断には共同を」の立場から、地域に出かけ対話し、要求を踏まえたシンポジウム開催など連携 を強めたいと考えます。その中で、具体的な支援や連帯を模索しましょう。
 全体会で報告された、北海道・札幌病院産婦人科の産後訪問や、東京・中野駅前での「街頭なんでも相談会」の活動はその典型です。民医連の事業所のポジ ショニングを定め、職員と共同組織の役割を高めていきたいと思います。
 民医連がとりくんだ無料低額診療事業は大きな役割を果たしています。薬局での無低診への挑戦など、地域でいのちを守るため、こうした役割をいっそう輝かせる奮闘を呼びかけます。
 総会方針案では、民医連が新たな役割を獲得するために、「医師問題、事業所の中長期の展望づくり、共同組織の強化、飛躍を担う幹部や職員の育成」という 四点を提起しました。これらは一体のものとしてすすめなければなりません。
 医師問題も、いのちと人権を守る活動と結びついてこそ大きな飛躍を勝ち取ることが可能です。総合的力量を持ち、無差別・平等の医療をすすめる領域別専門医と総合診療医の存在は民医連の財産です。
 今年九月、神戸で三〇〇〇人規模の共同組織活動交流集会が開催されます。分散会では共同組織活動交流全国連絡会の岸本美保さんから、「この集会に研修 医、青年医師の皆さんの参加を位置づけ、地域の運動の息吹を感じて」と呼びかけがありました。地域とともに歩む民医連医師として成長できる一つの場です。 こうした一つひとつの活動で「民医連らしさ」にこだわり続けたいと思います。
 次回、二〇一六年の総会は福岡です。総会方針を職員、共同組織の仲間に届け、各地で創造的に具体化されることを呼びかけ理事会のまとめとします。

(民医連新聞 第1568号 2014年3月17日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ