Medi-WIng

2000年1月1日

医療研究室 24時間心臓発作on call体制を維持

大阪民医連 松本 久
【耳原総合病院・内科医師】

いざというとき頼りになる病院でありたい

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 狭心症と心筋梗塞を虚血性心疾患という。心臓は冠動脈で栄養され、一日に十万回も拍動している。この、冠動脈が動脈 硬化(粥種)により、狭窄をきたすと狭心症を発症する。また、粥種が破綻し、血栓形成とともに冠動脈を閉塞すると心筋梗塞を発症する。これまでは、高度の 狭窄をきたす場合は、大動脈ー冠動脈バイパス手術が行われてきたが、近年カテーテルという細い管を血管内に挿入することにより、冠動脈狭窄部を拡張 (PTCA)したり、また粥種を削ったり(DCA)、さらにstentといって、狭窄部にステンレス等でできた内帳を入れて拡張する治療法が普及してきて いる。これらを総称して経皮的冠動脈形成術という(図)。当院でも約千例の冠動脈形成術を行ってきたが、成績は極めて良好である。
 また、堺市では心疾患の救急受け入れ病院が少なく、心疾患に対する救急医療の拡大が求められていた。一九九三年八月に、医師、病棟看護婦、外来看護婦、 事務などの関係者会議を開き、会議や職員向けの学習会等を重ね、現在、急性心筋梗塞に対しては、二四時間いつでも緊急PTCAを実施できる体制(心臓発作 on call体制)を維持し、地域の要望にこたえることができるようになっている。ここでも民医連ならではの民主的集団医療のカが発揮されている。
 冠動脈形成術の現時点での問題点は、三カ月前後におこる再狭窄であり、約二〇%の患者さんが、再度形成術を受ける必要があるという点である。この分野でも現在、さかんに研究が行われており、さらに発展するものと期待される。

Medi-Wing 第4号より

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