民医連新聞

2013年10月7日

もんじゅ君のエネルギーのおはなし 第10回 「原発はCO2削減に必要」のウソ 文・絵 もんじゅ君

 すっかり秋だね。9月のおわりに文科省さんが、ボク高速増殖炉もんじゅについて「もし試験運転を再開したら、6年ほどはつづける。やめるかどうかはそのあとで決める」というあいまいな方針を発表しました。
 まぁ、ボクもんじゅは約1万点にもおよぶ点検漏れがバレちゃって、原子力規制委員会さんから停止命令が出てるから、2014年度はまず動かせないんだけどね。
 だけど止まっていても年間約200億円はかかっていて、それがみんな国の税金なわけだから、いっそ「やめる」って決断しちゃえばいいのに、それはできないみたい。

文科省がもんじゅを延命するのはナゼ?

 というのは、高速増殖炉って、使用済み核燃料を再利用するつもりの「核燃料サイクル計画」の肝心かなめのところだからなの。
 もんじゅをあきらめる→高速増殖炉をやめる→核燃料サイクルはムリだとみとめる→使用済み核燃料を再処理できない→ゴミの行き場がないから原発も使えな くなっちゃう…というわけで、政治的に「原発をやめる」と決まっていないと、文科省さんも「もんじゅをやめる」とはいえないのかもしれないね。

原発を使ってもCO2は減らせない

 ところでよく「CO2削減のためには原発が必要だ」ってきくけど、あれってホント?
 じつは90年代、2000年代とをふりかえってみると、原発に肯定的だったアメリカや日本ではCO2排出量がふえていて、まじめに省エネや自然エネル ギーの拡大にとりくんだドイツやイギリスはへらすことができた、という結果が出ているの。原発の使用とCO2排出量削減とは無関係なんだよね

CO2よりずっとコワイ使用済み核燃料

 たしかに発電だけをみれば、原発からはCO2は出ないの。だけどそのかわりに、そばにいるだけで人間が死んじゃうほどの放射能をもつ、使用済み核燃料を出すんだ。
 無毒化するまで10万年かかるともいわれる使用済み核燃料のほうが、CO2なんかよりもずっとあぶないんじゃないかな。

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もんじゅ君/高速増殖炉。エネルギー問題のやさしいニュース解説で知られ、ツイッター(@monjukun)のフォロワーは10万人超。著書に『おしえて!もんじゅ君』(平凡社)など。公式サイト:http://monjukun.com

(民医連新聞 第1557号 2013年10月7日)

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