民医連新聞

2013年9月16日

参院選当選 民医連出身議員に聞く 弱い者いじめは許さない 現場の実態、どしどし寄せて

 七月の参院選で民医連出身の小池晃さん、倉林明子さん(ともに共産党)が当選しました。医師の小池さんは三年ぶりの返り咲き、看護師の倉林さんは初当選です。「医療、介護の実態をもとに国会で論戦し、政治を動かしたい」と意気込む二人に聞きました。(新井健治記者)

―倉林さんは、民医連の看護師では初の国会議員です。

くらばやし・あきこ 福島県西会津町生まれ。1982年、京都・右京病院入職。94年に京都府議、95年から京都市議5期。参院選は定数2の京都選挙区で当選。参議院経済産業委員


こいけ・あきら 1987年、小豆沢病院入職。甲府共立病院、北病院、代々木病院勤務。元全日本民医連理事。98年の参院選で初当選、2004年に再選。日本共産党副委員長、参議院厚生労働委員

倉林 京都の病院でリハビリ病棟と老人病棟の立ち上げに かかわりました。困難な患者も多く、民医連看護の原点が学べる病棟で、辞めようとしていた看護師がここで生き返ったエピソードも。今度の選挙で二〇年ぶり に当時の仲間と再会しました。六〇歳を超えた今も看護師を続け、娘さんも看護師になったそうです。
小池 民医連で働いた経験を持つ国会議員が二人も誕生したことで、さまざまな角度から社会保障の論戦ができますね。日本医師会や日本看護協会の幹部と懇談しましたが、おおいに期待していると言われました。
倉林 京都府議になったとき、最初に実現したのが府内初のNICUです。当時は未熟児を受け入れる病院が少なく、搬送途中で亡くなることも。現場の問題を解決するうえで、政治の力を実感しました。
小池 厚労大臣から「小池議員の質問は現場の実態を踏まえているので、イデオロギーを超えて耳を傾けている」と言われたことがあります。事実が政治を動かす。民医連の職場には、患者や地域住民の抱える困難がたくさんある。どんどん実態を寄せてください。
倉林 現場を良くするために、国政との太いパイプ役になりたいですね。

―国会は与党が多数で、今後三年間は大きな選挙もありません。どうたたかいますか?
倉林
 自民の議席数は恐るるに足らず。世論を盛り上げれば、国会の力関係は変えられます。こういう時こそ、たたかう民医連の出番です。
小池 政府は社会保障制度改革推進法に基づき、社会保障の 全面改悪を狙っている。たとえば介護保険では、要支援1、2の人を保険給付から外し特養には要介護3以上の人しか入れなくするなど、負担増とともに軽度者 外しが露骨です。今でさえサービスを使えない人が大勢いるのに、このままでは「保険」としての体をなさなくなる。制度の根幹を揺るがす大改悪です。
倉林 医療の制度改悪もひどい。七〇~七四歳の医療費を二割負担にし、病床削減や紹介状なしの外来受診の負担増などを狙っています。弱い者いじめは許せません。
小池 消費税増税の一方、大型公共事業に予算をばらまき法 人税減税も計画している。「増税は社会保障充実のため」としてきた前提は崩れ去りました。また、憲法も大きな課題。憲法を変えたい人に言いたいのは、「ま ず、憲法通りの政治をやりなさい」ということ。この国では、憲法がまともに機能したためしがない。
倉林 福島出身なので、脱原発は必ず実現したい。参議院の 経済産業委員会理事になりました。汚染水漏れに象徴されるように、原発事故はいまだに拡大している。先日も経済産業省の官僚が説明に来ましたが、まるで東 京電力の代理。危機感が全く感じられない。原発ゼロへ、託された思いは忘れません。
小池 私は厚生労働委員会を担当します。与えられた六年間の任期で、憲法に則った政治を実現するために全力をあげます。

―若者を中心に政治離れも問題になっています。
倉林
 社会保障制度は医療や介護の専門性を活かす土台ですから、良い医療、介護を突き詰めれば、政治に行き当たらざるを得ない。現場の中にこそ社会への気づきがあると思います。
小池 民医連に未加入だった病院が倒産、再建のために派遣 されたことがあります。そこで医師同士や他職種との議論を活性化して、その場にいたスタッフに驚かれました。民医連の中にいると気づきませんが、日常業務 の一つひとつに住民とともにつくりあげてきた歴史がある。さまざまな矛盾とたたかってきたからこそ、実践できていることもあります。民医連で働くすべての 職員が、共にたたかう仲間だと思っています。

(民医連新聞 第1556号 2013年9月16日)

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