民医連新聞

2013年8月19日

もんじゅ君のエネルギーのおはなし 第7回地元の声が再稼働のブレーキに 文・絵 もんじゅ君

 今、ふくいち君の直面している最大の課題は汚染水。1日に300トンもの量が海に流れこんでいるんだって。地面に水ガラスをしみこませて固め、壁をつくって「応急処置」をしたんだけど、すでにそれを乗り越えてあふれてしまって、有効な手段がない状況なの。
 血が流れているのに止血せず、ばんそうこうだけ貼ろうとしているようなものだね。

東電さんにはまかせておけない

 「このままじゃ海の汚染が進んじゃう。東電さんにやらせていてもらちがあかない」というこ とでいよいよ国が対策に乗り出すんだけれど、これはつまり電力会社がすべきだった仕事を税金でやります、ということ。これまでに何兆円もの国費が投入され ているのに、東電さんは「足りない」と、事故現場に投入する資金をケチってしまっているの。
 東電さんが私企業のままでは、どうしても黒字を出そうとして事故収束に必要な人やモノを節約してしまうの。だから国営企業にするか、原発部門だけでも切り離さないことには、中途半端な対応をつづけて被害が拡大するんじゃないかと心配になっちゃうね。

こんな状況で再稼働?

 ふくいち君への対応が後手後手にまわっている東電さんだけど、なんと新潟の柏崎刈羽くんの再稼働をもくろんでいるんだ。
 それにたいして新潟の泉田県知事さんは「柏崎刈羽くんの安全管理ももちろんだけど、そもそもふくいち君の事故原因はちゃんとわかったの?」とツッコミを 入れているんだよ。ただし疑問を口にしているのは県知事さんだけで、原発のある柏崎市も刈羽村も再稼働にゴーサインを出してしまっているの。
 とはいえ、9月には福井の大飯くんが定期点検で止まるから、また日本じゅうで「稼働中の原発はゼロ」という状態に。
 この7月には全国で、12の原子炉について再稼働申請が出たの。それらの審査がおわる来春に、各県で反対の声がどれくらい上がるのかによって、原発ゼロの期間は長くも短くもなるんじゃないのかな。地元の人たちの声がますます重要になりそうだよ。

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もんじゅ君/高速増殖炉。エネルギー問題のやさしいニュース解説で知られ、ツイッター(@monjukun)のフォロワーは10万人超。著書に『おしえて!もんじゅ君』(平凡社)など。公式サイト:http://monjukun.com

(民医連新聞 第1554号 2013年8月19日)

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