民医連新聞

2013年8月5日

私のお仕事 鍼灸師(しんきゅうし)

 多彩な職種が働く民医連事業所。それぞれが専門性ややりがいを語る連載。5回目は鍼灸師です。

鍼灸医療の特徴

 鍼灸といえば、肩こり・腰痛専門といったイメージがあるようですが、実は内科疾患・婦人科疾患などさまざまなものに効果が認められた、中国に起源を発する伝統医療です。身体に鍼(はり)や灸を用いて刺激を与え、多様な疾病への治療や健康増進を図るものです。
 私たちの治療は「中医学」という独自の理論の上に成り立っています。そのため西洋医学を中心とする日本の医療とは用語はもちろん、病態把握の方法などが 全く異なります。従って、他の職種に話しても理解してもらいにくいことがあります。しかし、それは多くの職種が力をあわせて働く民医連ならではの悩みであ ると言えます。逆に鍼灸への理解を深めてもらうチャンスと捉えてがんばっています。

西洋医学との融合めざす

 当鍼灸院では診療所に併設されているという特徴を生かしながら、東西両医学を融合させ、「補完医療の実現」をめざしています。外来とあわせ通院困難な患者さんのための往療治療(訪問治療)もおこなっています。
 私は主に訪問治療を担当していますが、患者さんがいつも楽しみに待っていてくださることが、この仕事の一番のやりがいです。治療時間が30分と比較的長 いために、信頼関係を築きやすいのかもしれません。患者さんには亡くなる直前まで訪問を楽しみにしていたり、主治医の先生からは「お陰で不安などの訴えが 少なくなった」と言ってもらえることもあります。投薬治療では顕著な改善がみられなかった不定愁訴が改善した例もあり、難病を抱えているなど多くの主訴を 持つ患者さんにとっては「希望の小窓」としてお役に立てているのではないかと感じています。

誰もが鍼灸を受けられるよう運動も

 現在、鍼灸は健康保険で受診することができますが、それには医師の同意書が必要です。
 また、「西洋医学との併給禁止」、「同意病名の限定」などさまざまな制約もあります。民医連の一員として、お金のあるなしに関わらず、誰もが受けたい医 療を受けられるよう、これらの制限撤廃をめざし患者さんとともに運動を始めています。
 よろしければ、みなさまのご支援もよろしくお願いします。
(京都・川端鍼灸治療院 大坂敏弘)

 民医連で働く鍼灸師は一九県連に、約七〇人が在籍しています。

(民医連新聞 第1553号 2013年8月5日)

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