民医連新聞

2013年7月1日

HPH国際カンファレンスinスウェーデン参加報告 “民医連の実践が世界で認められた”

  五月二二~二四日、第二一回HPH(Health Promoting Hospitals and Health services)国際カンファレンスがスウェーデン・ヨーテボリで開催され、世界四〇カ国八二〇人が参加。民医連からは昨年の台湾カンファレンスの一六 人を上回る二二人が参加し、各国の参加者と活発に交流しました。全日本民医連から参加した羽田範彦事務局次長の報告です。

 今回のカンファレンスには、八病院から医師一四人をはじめ、保健師やセラピストとともに、共同組織が参加したことが大きな特徴です。また、一二本の演題発表を行いました。
 発表者は演題報告に際して、英語版のパワーポイントとポスターの作成や英語のスピーチ原稿を準備しました。発表演題はオーラルセッションで全日本民医連 と千鳥橋病院の二本、ミニオーラルセッションにはみさと健和病院が。ポスターセッションでも九演題(千鳥橋病院二・大泉生協病院三・医療生協さいたま・埼 玉協同病院・秩父生協病院各一・たたらリハビリテーション病院一)を発表。
 全日本民医連のとりくみの発表を行ったのは、青森・健生病院の伊藤真弘医師。「日本で最初のHPHセミナーの成果とその後の実践―日本HPHネットワークへ向けて歴史的な一歩を踏み出す」と題して発表。
 伊藤医師の発表に対し、国際HPHのペリカン理事は「ネットワーク形成へ向けて大変教訓的であり、日本から学ぶことが大きい」と発言しました。

共同組織の発表が受賞

 さらに、今回の国際カンファレンスの最大の成果は、東京保健生協の組合員である菊池善次郎 さんがポスターセッションで発表した「ヘルスチャレンジを通して『地域まるごと健康づくり』」が「HPH優秀賞」に輝いたことです。「地域・健康」分野で は台湾と菊池さんだけの受賞でした。全体でも受賞数は一桁。今回の演題は、HPH「科学ジャーナル」に全文掲載されます。
 演題には大きな青いリボンを飾ってもらい、参加者からは、「ブルーリボン賞」と呼ばれていました。菊池さんは、「住民が主体のヘルスプロモーションの実 践が、世界で認められて確信になりました」と感激。来年スペインで開かれる国際カンファレンスにも組合員を参加させたいと、意気込みも話しました。

HPHは世界の流れ

 今回のカンファレンス本会議や、同時に開催されたHPH総会(民医連は招待され挨拶も行 う)を通じて明らかになったことは、世界でHPHがさらに前進する条件・可能性が広がっていること。WHOとの連携・協同の強化や、新たに国際病院連盟 (日本病院協会加盟)とのパートナー締結、世界ヘルスプロモーション学会の発足などです。
 特に本会議冒頭でも報告した、WHO「健康2020」の実践をHPHが推進すること。そのために一層連携・協同を強めていくことを鮮明にしています。
 「健康2020」のタイトルは、「現在と未来の世代のために健康と幸福な暮らしを促進する」です。その中の「一〇項目の必須公衆衛生戦略」の一つに「社 会的決定因子や健康の不平等にとりくみ行動を含むヘルスプロモーション」を柱に定めています。
 また、WHOは六月に四年ぶりのヘルスプロモーショングローバル会議をフィンランドで開催します。有名な「オタワ憲章」「バンコク憲章」を定めた会議で す。その会議と連携してHPHプレ会議も行われるため、提起される内容には世界が注目します。
 今回の国際カンファレンスは日本と民医連のヘルスプロモーションの前進にとって意味のあるものになりました。

日本でも広がる

 民医連発のHPHが、日本と世界から注目されています。民医連外の佐久総合病院や、韓国のネットワークから、全日本民医連や千鳥橋病院に講演の依頼も来ています。来年の第二二回までには、さらにHPHの実践が、日本で広がる可能性を強く感じました。

HPHとは WHOが推奨する地域の健康づく りに貢献する病院や健康サービスの国際的ネットワーク組織。WHOがすすめる「ヘルスプロモーション」を通し、より良い健康の実現のために病院・健康サー ビスの役割を高めることが目的。働きかけの対象は、患者と家族(特に弱い立場の人々)、病院スタッフ、地域住民と環境であり、これまで民医連が行ってきた 医療・保健活動が評価されています。世界でも970施設が登録。日本では、11病院が登録、いずれも民医連です。

(民医連新聞 第1551号 2013年7月1日)

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