民医連新聞

2013年5月20日

新卒看護師 2年連続で1000人突破 “民医連看護”を語って

 民医連の新卒看護師確保数が、二年連続で一〇〇〇人の大台を突破しました。二〇〇六年度に「7対1」看護配置基準が設けられて看護師争奪戦が起こり、一時は七〇〇人台に低迷したものの、その後はV字回復を果たしています。(新井健治記者)

 今年の新卒看護師確保数は一〇六六人(昨年は一〇三四人)。このうち福岡が一二一人、東京 が一一八人と大都市圏で二割以上を占めました。愛知(七〇人)、北海道(五六人)、大阪(五四人)、長野(五二人)も目立ちます。目標を達成したのは一三 県連。福岡はもともと九二人と高い目標を超過達成しました。一方、確保ゼロは三県連でした。
 奨学生は今年四月時点で一七五五人と過去最高を記録。昨年度の高校生一日看護体験受け入れ数は一万四四一五人、臨地実習受け入れ数は八四五〇人と、こちらも順調に増えています。
 全日本民医連看護学生委員会の野村鈴恵委員長は「民医連看護の実践を幅広くアピールしたこと、職員も学生も育ち合おうという姿勢で看護学生に働きかけてきた成果です」と話します。

独自パンフや動画を活用

 民医連看護の魅力を語るため、法人や事業所は工夫をしています。全日本民医連が発行した看護実践を伝えるパンフレット「キラっと輝くたからもの」を参考に、独自のパンフやDVDを作ったり、ホームページに力を入れている事業所も。
 たとえば京都民医連第二中央病院は、ホームページのトップに動画で実践を紹介する「看護部ムービー」を載せています。リハビリと在宅医療に力を入れてい る様子や、仲間とともに成長する新人看護師の姿、ALS患者の療養をささえる活動など、多彩な民医連の看護を映像で分かりやすく伝え、共感を広げていま す。
 「共に育ち合う」姿勢で看護学生とかかわるために、全日本民医連看護学生委員会が作成した「新卒看護師受け入れマニュアル」も活用されています。同マ ニュアルは、従来のとりくみの教訓をまとめ二〇〇八年に改定、「看護師確保の活動は看護活動、職場づくりと一体の課題」と位置づけています。「マニュアル に学んだ成果が現れた」と野村さん。

あらゆる努力を重ねて

 看護師確保の競争が熾烈なのが東京です。東京民医連は一九八三年、全国に先駆けて高校生一 日看護体験を開始。昨年も模擬面接を受けた五〇〇〇人の名簿を活かして奨学生を確保するなど、早い段階から働きかけています。また、県連看護部は奨学生や 内定者の一覧を月報で発表、八~一〇月は週報で情報を共有するなど努力を続けていますが、都立の看護学校が減らされ厳しい状況です。
 「都内には有名病院が多く、知名度では負けてしまうので、民医連看護の魅力をアピールしています」と東京民医連看護部副部長の秋濱洋一さんは話します。
 管理部を先頭に職場全体でとりくむことも重要です。たとえば健和会(東京)は、夏のインターンシップ受け入れ前に看護部長アピールを出し、看護師長会議で受け入れ体制の改善や意識づくりに努めています。
 奈良では、共同組織とともに奨学生が誕生したエピソードが。平和会健康友の会は昨年から、元教師ら友の会会員が講師になり、看護学校受験のための無料塾 を始めました。看護学校を志望していたものの、塾に通う余裕がなかった高校生を友の会の人たちが温かく指導し、見事合格。民医連の奨学生になりました。

今年度の目標は1187人

 全日本民医連が四月に開いた看護師受け入れ担当者研修交流集会では、さまざまな課題も見え てきました。たとえば高校生一日看護体験は人気が高く、申し込みが受け入れ可能人数を大幅に上回り、断っている事業所が多数ありました。いったん断ると、 その高校との関係が切れる可能性もあり、対策を急ぐべき課題です。
 また、奨学生辞退者と卒後一年目の退職者に、メンタルヘルスの問題が理由になっている人が増える傾向にあり、きめ細かなフォローの必要性も確認されました。
 今年度の新卒看護師の目標数は一一八七人。野村さんは「引き続き、一〇〇〇人以上の新しい仲間を迎え入れたい」と語ります。

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(民医連新聞 第1548号 2013年5月20日)

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