民医連新聞

2013年4月1日

私のお仕事 作業療法士

新連載はお仕事紹介。仕事内容や専門性、やりがいを語っていきます。初回は作業療法士(OT)が登場。

 私は作業療法士として、介護老人保健施設の入所者さんのリハビリをしてい ます。「施設介護から在宅介護へ」という施策の変化も反映し、一昨年から在宅に戻る利用者さんが増加。昨年、長期間入所されていた利用者さんが在宅復帰 し、その変化が嬉しく心に残ったので紹介します。

認知症の在宅復帰のために

 利用者さんは右片麻痺と中等度の認知症があり、一部介助が必要なADL。表情は険しく、きつい口調で話す様子も見られました。
 当施設の療養棟でのカンファレンスや、日々のコミュニケーションから、その方には「寂しい」「他者との関係が上手くとれていない」などの思いがあること に気づきました。今後についてご家族と相談した結果、在宅で介護することに決まりました。そこで在宅生活を想定した援助を他職種で連携してすすめました。
 OTは身体や精神に障害のある人に対し、日常社会で自立した生活ができるように、作業活動や運動療法をする仕事です。私は利用者の移乗や更衣などの練 習、自宅訪問ではケアマネジャーとともに福祉用具も選定しました。家族指導では、介護職とおむつの当て方や移乗動作の介助方法を教えました。他に管理栄養 士は食事のアドバイス、相談員はご家族が疲れたり不安な時に短期入所も利用可能であることも説明。

他職種で介助方法を統一

 施設では、介護職に利用者の在宅での動作を想定した介助方法を伝達。しかし、介護職の間で はそれがうまく統一されておらず過介助となり、利用者さんのリハビリになっていないことが分かりました。そこで利用者さんを担当している介護職を中心に再 度、意見交換し介助方法を統一。こうして在宅復帰の準備が整いました。
 2カ月後、短期入所の利用で訪れた利用者さんから「家は良い。娘も大変だけど良くしてくれる」と入所中には語らなかったご家族への感謝も聞くことができ ました。利用者さんの気持ちや生活の質が豊かになり、在宅復帰ができて本当に良かったと思いました。
 今回の経験を通してチームで協力し、専門職同士がアプローチを言い合い、認め合ってとりくむことの大切さを知りました。利用者さんの笑顔を活力に今後も 楽しく、リハビリをがんばっていきたいと思います。(福岡・介護老人保健施設くろさき苑 矢野祐子)

民医連で働く作業療法士は全国で約一六〇〇人(二〇一一年度の民医連現勢調査)です。

(民医連新聞 第1545号 2013年4月1日)

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