民医連新聞

2013年3月18日

利用者の生活に支障 「減収」の事業所3割に

全日本民医連が会見
介護保険法「改正」 介護報酬改定の影響調査

 昨年四月に行われた介護報酬改定や、訪問介護の生活援助の時間短縮が利用者や事業所にどう影響したか―。全日本民医連は二〇一二年八~一〇月に行った調査結果について、三月五日の記者会見で発表しました。

 調査は民医連外を含む、二七都府県から九八三の事業所のアンケートと、介護報酬改定により利用者の生活に支障が生じた二一六事例、そして利用者・家族の生の声「ひとことカード」九五〇件の三点を集約・分析したものです。
 「生活援助」の時間短縮で利用者に問題が生じたと回答した訪問介護事業所は約七割。「干した洗濯物を取り込もうとして二度転倒」「認知症患者を介護する 家族が仕事を辞めなければいけなくなる」などの事例が寄せられ、時間短縮により独居高齢者の安全性の低下や、介護者への負担が増していることが報告されま した。
 また、介護報酬改定以降で収益が減少した事業所が三割強という結果に。一方、同時に利用者の自己負担が多くなったと回答した事業所も五割を超えました。 その要因が、「介護職員処遇改善加算」で公的負担をやめ、利用者に負担を求めることにしたためだと、約三割の事業所が指摘しています。
 利用者から集めた「ひとことカード」の内容も紹介。利用料が増加したため「お金がないので介護保険をやめようとおもいます」といった声で埋められていました。
 今回の改定について林泰則理事は「事業所と利用者どちらかに負担を強制させ、双方を分断するもの」と指摘。調査を通して見えてきた改定の問題点をあげ、介護保険制度の改善提案を行いました。
 最後に全日本民医連の山田智介護・福祉部長は「これから先、認知症患者も増えていく中で介護の重要性は高まっていく。介護保険制度を改善しなければいけ ない」と話しました。

(民医連新聞 第1544号 2013年3月18日)

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