民医連新聞

2013年2月4日

全日本民医連 第2回評議員会議案 ポイントは? 長瀬事務局長にきく

 全日本民医連は二月に行う第二回評議員会の方針案を発表しました。会議は第四〇期総会から一年の節目であり、次期総会までの折り返し点です。議案はこの一年間の全国の経験の振り返りと、今後の運動課題を記しています。長瀬文雄事務局長にポイントを聞きました。

 総選挙は、消費税増税、原発維持の自民党が前回の選挙よりも得票数を減らしながらも大勝しました。これに対して議案では民意を反映しない小選挙区制の問題や、マスコミ報道の影響を指摘しています。この選挙制度の問題点を多くの国民が痛感したのではないでしょうか。

情勢…共同拡げる時

 自民党はマニフェストで日米同盟強化や原発維持、国防軍の創設などを掲げています。国民 は、こうしたマニフェストを支持したのでしょうか。全く違うと思います。想像してみてください。子どもたちのすぐ頭上を大爆音でオスプレイが飛ぶ光景や、 放射能の影響が子どもに出ないか毎日心配しなければならない福島の母親の思いを。
 安倍首相は以前、国会で福島第一原発の安全性について「絶対に事故は起きない」と強弁した人物です。安全性を軽視した発言に「仕方がない」と思考停止し ていてはいけません。いのちを代償にするエネルギーなどあっていいはずはありません。想像力が必要です。
 今、日本では、ますます貧困と格差が広がっています。現場で患者さんや利用者さんと日々関わるみなさんも実感があると思います。
 そんな時に中小企業や商店街、私たちの事業所に大きな打撃を与える消費税増税が計画されています。またTPPへの参加が狙われていますが、米韓FTAの例をみても国民生活に重大な影響を与えます。
 この流れをはね返すのは事実に基づく粘り強い対話や共同です。長野県で行ったシンポジウムでは、要求で一致し共同する活動に「壁」はありませんでした。 今後はこうしたとりくみを全国各地や職員個人のレベルで挑戦しようと提起しています。職員には自治会や職能団体の役員を務める人もいるはずです。
 また、今までの事業所〝だけ〟の活動ではない地域社会での共同「一事業所(一共同組織)一社会貢献活動」を呼びかけました。立場の違う人とも「対話でき る関係」が作れます。そして相手も自分も変わります。地域生活で関わる人と対話を広げ、日常の暮らしを良くすること、参議院選挙など政治を変えるとりくみ をしましょう。

民医連の課題は

 この間、民医連はまさに「地域にこの事業所があって良かった」といえる活動をしています。 民医連新聞の新年号にも、仲間の奮闘が全国から寄せられていますね。福島への支援や、無低診で民医連を感じた職員、患者の人生に寄り添う医療など、すべて の職員もまた地域の宝物です。
 これからはHPHの活動や権利としての「地域包括ケア」など、地域レベルで健康を守り、地域を再生する活動を共同組織の仲間とともに旺盛に展開しようと呼びかけました。
 各職種における課題や、新しくできた「民医連の介護・福祉の理念」も深めてほしいと思います。競争を煽(あお)るような社会に対して、人間発達を促す職場づくりが民医連運動のカギだと考えます。

 今、生活保護の改悪がすすめられています。強い者の不正には目が向かないように弱い物同士を団結させないための分断も行われています。
 今は誰もが病気になれば、自力では生きていけない時代です。そんな時に経済や利益優先ではなく、一人ひとりの人間が大切にされる社会が望まれます。「分 断」に対しては「連帯」を、「孤立」に対しては「共同」を。一人の力は小さくても、みんなで勇気をもって活動しましょう。みんなの頭の辞書から「シカタガ ナイ」をいう言葉を削除しましょう。
 この議案で人々の生活を守るために何が必要か、情勢や課題などを学びとってほしいと思います。

(民医連新聞 第1541号 2013年2月4日)

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