民医連新聞

2012年11月19日

共同組織こんなこと、できる

 10~11月は共同組織拡大強化月間です。安心して住み続けられるまちづくりをめざし、全国各地で活動している医療生協や友の会のとりくみを紹介します。

兵庫・尼崎医療生協

安心して学ぶ“拠り所”

子ども応援ひろば

 尼崎医療生協では昨年四月から、集団になじめなかったり、不登校で授業についていけない子どもを対象に、学力をつけ生きる意欲を取り戻してもらおうと「子ども応援ひろば」を始めました。
 法人から「中学生の学力や不登校の問題にとりくみたい」との相談が、これまで医療生協の活動に参加したことがなかった私にありました。元教師の組合員を 中心に昨年二月、子育てに悩む保護者を対象に「中学生の現状を知る学習会」を開催、子どもの生きづらい状況を再確認しました。話し合いの結果、「たとえ対 象者が一人でも始めよう」とスタート。
 「ひろば」は毎月第二、第四木曜日に、ボランティアの元教師が一対一で学校の宿題や漢字ドリルを教えます。初回はスタッフ九人に子どもは一人。その後、 参加者が友人を連れてきたり、職員の紹介や法人機関紙で情報が広がり、小学一年生から中学生まで一五人前後が集まるようになりました。
 小数の計算が苦手な六年生がいました。小数点を揃えずに計算していることにスタッフが気づき、正しい計算方法を教えました。学校で円を習っている時期 で、円の面積の求め方を教える過程で少数の計算を繰り返し、苦手意識を克服できました。また、ひろばで学んで希望高に合格し、今度は「お兄ちゃん」として 小さい子の面倒を見ている高校生もいます。
 卓球や独楽回し、将棋など遊びも楽しみの一つ。一二月にはクリスマス会、年度末には進級式の行事も。八月は夏休みの宿題対策として、月に四回開きました。
 子どもたちは口々に「ここはみんな優しい」「先生は僕のことを全部わかってくれる」と言います。目標の一つに揚げていた、子どもたちとの信頼関係も実現 しました。保護者からも「子どもをありのまま受け入れてくれる」「同じ境遇の母親と話せる」と好評です。ひろばは親と子の悩みや思いを共有できる場になっ ています。
 今後はよりきめ細かな学習のステップを準備し、子どもたちを丸ごと抱えられるスタッフの拡充も図りたい。誰もが住みやすい町づくりをめざす医療生協の理 念を活かし、子どもが安心して学べる拠り所にします。(松岡宗治)

(民医連新聞 第1536号 2012年11月19日)

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