民医連新聞

2012年11月5日

若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(15) ~日本が生んだ過労死を無くす~ 文 山田真吾

 コンビニエンスストアの正社員から労働相談を受けました。彼が持参した給与明細書に月ごとの労働時間が書いてあり、173時間とありました。どの 月の労働時間も173時間。「毎月173時間ですが、これ以上働くことはありませんか?」と尋ねると、「もちろん、これ以上働いています。しかし上限が 173時間だから、と改ざんされています」と答えました。
 厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」という通達を出しています。これを知ってか知らずか、使用者は労働時 間管理をきちんとせず、長時間労働が横行しています。厚労省が定める過労死ライン(1カ月の残業80時間)は、「これ以上働いたら過労死する」という基準 ですが、このラインを大きく超える労働が横行しています。連載(13)でも書いたSHOP99では、いつ誰が過労死してもおかしくない状態でした。
 「全国過労死を考える家族の会」を中心に、過労死を無くし過労死を生み出さない職場環境づくりを求めて「過労死防止基本法制定を求める100万人署名」 がとりくまれ、国会での院内集会なども行われています。署名を呼びかけるパンフレットには、こんな詩が載っています。

 〈ぼくの夢〉
大きくなったらぼくは博士になりたい。
そしてドラえもんに出てくるようなタイムマシーンをつくる。
ぼくはタイムマシーンにのってお父さんの死んでしまうまえの日に行く。
そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや。

 この詩は、過労自殺(過労自死)でお父さんを亡くしたマーくん(当時小学1年生)が書いた 詩です。この詩を読むたび、涙が溢れてきます。「Karoshi」が国際的に通用するようになり20年以上が経過しました。日本が生んだこの言葉を、今度 は日本から無くしていく必要があります。

(民医連新聞 第1535号 2012年11月5日)

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