民医連新聞

2012年11月5日

共同組織こんなこと、できる

 共同組織拡大強化月間。安心して住み続けられるまちづくりをめざし、医療生協や友の会のとりくみを紹介します。

東京・代々木健康友の会

都会の熱中症予防から居場所づくりへ

高齢者宅訪問と食事会

 代々木健康友の会は結成五〇周年。会員数は五五〇〇世帯です。
 記録的猛暑だった一昨年夏、代々木病院に警察から死亡した患者さんの照会が相次ぎました。例年にない件数で、多くが熱中症と考えられました。独居高齢者 で介護保険を使っていないことが共通点。友の会は病院とともに熱中症予防のとりくみを開始し、以後三年連続で行っています。
 一昨年は、渋谷区に熱中症対策を要望。熱中症の注意を防災無線や広報カーで呼びかけるなど具体策を提案しましたが、行政が動くまで待てずにハンドマイク 隊や広報カーを出しました。高齢の会員宅訪問や電話での安否確認、気になる患者さんを訪問しました。
 昨年は、熱中症計を持ち高齢の会員宅を訪問。温度計の無いお宅には温度計も配布しました。
 訪問の結果、(1)独居、老老世帯が六割を占め、家族同居でも日中独居の場合がある(2)高齢者は高温の室内で生活しているケースが多い。二八度以上の 部屋が七割(3)高齢者の見守りのしくみづくりが必要(4)経済的問題でエアコンが使えない高齢者世帯への行政の援助が必要、といったことが分かりまし た。また、この年も渋谷区に熱中症から区民を守る対策を求めました。独居高齢者を速やかに救護できるよう、救急医療情報キットの活用も要請しました。
 今年の夏は、高齢化がすすむ都営団地の全戸を訪問。都心の限界集落として報道される団地です。訪問で居住者から出た要望を団地自治会に伝えるとともに、 渋谷区長に要望書を提出し、三年連続で実効ある対策を求めました。
 区も少しは動きましたが、抜本的な対策には程遠いのが現状です。区との懇談の中で区職員から「友の会と病院の地域活動を高く評価しています」との発言も。友の会の活動が行政からも注目されていました。
 夏の訪問活動で感じた問題意識から、誰もが集える「食事会」を昨年七月から始めています。参加費三〇〇円で月一回実施。友の会会員や患者さん、地域の方 にも呼びかけています。回を重ねるごとに参加者は増え、時には若い親子も。借りている民家が狭くなり、新たな会場探しも考えています。
 高齢者のいのちと健康を守るとりくみは、病院と友の会だけでは完結しません。今年から地域ぐるみの健康づくりを目指し、公的機関や民生委員、自治会、商店街との連携を模索中です。

(民医連新聞 第1535号 2012年11月5日)

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