民医連新聞

2012年10月15日

若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(14) ~ブラック企業と人間らしい働き方~ 文 山田真吾

  「ブラック企業大賞2012」にノミネートされた株式会社ゼンショー(牛丼すき家を経営)は、どれほどの「ブラックぶり」なのか。事の発端は06年夏。渋 谷にある2店舗の改装工事でした。改装工事のため数週間ほど店舗閉鎖するため、アルバイトを全員解雇。アルバイトは別の店舗に配置すればいいのに、です。 解雇を言い渡されたアルバイトの中には、正社員並みの労働時間と給与で家族を養っている人、学費を稼ぐために働く大学生などがいました。ユニオンに加入 し、複数回の団体交渉を経て解雇を撤回させ、明らかになった残業代未払いも是正させました。首都圏青年ユニオンが「解雇を撤回させ、残業代未払いも是正さ せた」と記者会見を行うと、ゼンショーは1万人以上のアルバイトの残業代支払い方法を見直しました。
 翌07年には、全国のすき家のアルバイトが組合に加入し、過去の残業代支払いを求めて団交を申し入れました。すると、ゼンショーは手のひらを返すように 団交拒否。労働組合法第7条は「使用者は労働組合との団体交渉を正当な理由なくして拒むことをしてはならない」としていますが、07年からゼンショーは 「首都圏青年ユニオンは労働組合ではない」「ゼンショーが雇用する労働者の間には労働契約ではなく請負契約に類する業務委託契約を結んでいるため、雇用労 働者ではない」などと主張し、団交拒否を続けました。そして今年7月、東京高裁が「労働組合との団体交渉に応じるよう」命じましたが、ゼンショーは最高裁 に上告しました。
 こういう点でゼンショーはブラック企業なのです。一時期、深夜帯にすき家へ強盗が入ったというニュースが相次ぎました。深夜帯に1人勤務では休憩も満足 に取れず、それを狙っての強盗です。ゼンショーのホームページには「世界から飢餓と貧困を撲滅する」とありますが、これほど言っていることとやっているこ とが違う企業も珍しい。「ブラック企業」の汚名をすすぐには、まずは団交に応じ、労働者の声を聞くことです。

(民医連新聞 第1534号 2012年10月15日)

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