民医連新聞

2012年10月15日

震災復興・医療再生~震災から1年半を経て~ ドクターズデモ実委がシンポ “復興見えぬ”被災地の医療体制

 九月一五日、震災から一年半を経た被災地の医療や医療再生の課題を考えようと、仙台市でシンポジウムが行われました。全国から医師や歯科医師ら一五〇人が集まりました。主催は、同シンポ実行委員会です。

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 シンポジストは、宮城県医師会の桜井芳明副会長、同県歯科医師会の細谷仁憲会長、岩手県立高田病院(陸前高田市)の石木幹人院長、桑野協立病院(福島県郡山市)の坪井正夫院長の四人。コーディネーターを、坂総合病院(宮城)の今田隆一院長が務めました。
 桜井氏は甚大な被害を受けた宮城県沿岸部の医療機関の状況や復興の到達を中心に報告。活発に医療活動を続ける病院がある一方、被災直後から外部の支援を受けつつ少人数で奮闘してきた医療機関では、先行きが懸念されることなどを話しました。
 細谷氏は、民間歯科医療機関の再生のための補助制度が、支援対象が被災建物に限定されるなど依然として「使えない」状態だと報告、「すべての民間医療機関を対象にし、使途に制約をなくすべき」と指摘。
 石木氏は津波に襲われる病院の画像も見せつつ、仮設病棟を今年二月に再開するまでの経過や、被災前からの医師不足がいまだ打開できていない問題を語りました。
 坪井氏は原発事故による放射線被害や被災地の医師数減少について、脱原発のために運動する決意もこめて報告しました。
 また、シンポにあわせて、歯科医師でジャーナリストの杉山正隆さんが「医療再生とTPP(環太平洋連携協定)」をテーマに記念講演。杉山さんは、取材し た米韓自由貿易協定の締結後の韓国の現状を紹介しながら、TPP参加が、日本の医療にとっていかに危険かを語りました。
 翌日は関連イベントで「ドクターズ・ランニング」も実施、五km、八km、一〇kmの三コースとウオーキングで「医師増やせ」や「医療再生」を訴えました。

(民医連新聞 第1534号 2012年10月15日)

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