民医連新聞

2012年10月1日

HPHセミナー 日本でもヘルスプロモーション拡げて

 全日本民医連は九月一五、一六の両日、東京都内でHPH(Health Promoting Hospital & Health service)セ ミナーを開催し、医師六三人を含む二七七人が参加しました。国際HPHネットワーク事務局長のハンヌ・ターネセン教授(医学博士)を招き、日本でのヘルス プロモーション(以下HP)の実践に向けて学び、討論しました。
 藤末衛会長が「HPHを民医連のすすめる医療・介護のとりくみの基本的課題と位置づけ、地域の皆さんとともに健康の自己主権を体現するとりくみとした い」とあいさつ。他の医療機関や地域住民とともに、日本の医療政策の転換を促す運動として広がりのあるネットワークを目指したい、と呼びかけました。
 ターネセンさんが「HPHの歴史、哲学、基準、実践」と題して講演。HPを「人々が自らの健康状態をよりよく管理・向上できるようにすること」と定義 し、治療だけではなくHP的な介入で生活の質や治療効果も上がると紹介しました。「通院していない人にも医療者の関与が必要な人はおり、医療機関から家庭 や地域、学校や職場への働きかけが重要」として、HPHは臨床治療と公衆衛生をつなぐ「架け橋」だと強調しました。
 ネットワーク加入に必要な条件や実際の活動も紹介。「エビデンス」と「可視化」がキーワードだとして「民医連はすでにHPを豊かに展開している。それを 秘密にしないで」と、日本でのネットワーク構築に期待を述べました。
  日本初のHPHである千鳥橋病院(福岡)が報告。禁煙支援にとりくむ「患者チーム」、職員の健康増進にとりくむ「職員チーム」、地域の保健室活動を展開す る「地域チーム」の活動を紹介しました。「地域の保健室」は、高齢化がすすむマンション住民と協力し、医療相談や安否確認を実施しています。住民は、「医 療機関とのパイプで得た安心感は計り知れない。全国の病院でもとりくんでほしい」と語りました。
民医連外から一〇人以上参加したことも今セミナーの特徴。日本ヘルスプロモーション学会の島内憲夫会長(順天堂大学教授)は、「最大の敵は貧困であり、 HPの究極の目標は平和」と語りました。佐久総合病院(長野)の前島文夫・健康管理部長は、「HPHへの加入準備をすすめている」と報告しました。
(ターネセンさんのインタビューは次号で)

(民医連新聞 第1533号 2012年10月1日)

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