民医連新聞

2012年9月3日

フォーカス 私たちの実践 医療機器の安全管理 近畿地協 医療安全に欠かせない機器管理 情報交換・共有の場を構築

 さまざまな場面で使われる医療機器。その安全管理は欠かせない課題です。しかし情報交換などの場は少なく、数少ない臨床工学技士が悪戦苦闘しています。近畿地協では、七月七日、初めて医療機器安全管理責任者会議を開催。東神戸病院安全管理推進室の島田尚哉さんの寄稿です。

発足の経緯

 二〇〇七年に医療法が改正され、病院に「医療機器安全管理責任者の配置」が義務付けられました。五年が経過し、今では医療機器の安全管理体制の確立や臨床工学技士(以下CE)による機器の中央管理は、医療安全上常識となりつつあります。
 しかし、民医連には中小規模施設が多く、透析を行っている場合を除けば必ずしもCEが勤務しているわけではありません。CEがいなくても医療機器の安全 体制は構築できますが、専門性が高い分野ですから多くの壁があります。そこで、近畿ブロックでは、CEを中心に医療機器安全管理責任者の代表者会議で、責 任者会議開催に向けて準備をすすめました。
 本会議の目的は、(1)医療機器の安全管理のための情報交換、(2)民医連で医療機器の管理をしている者同士、顔の見える関係を作る、の二つです。

課題出し合い、改善へ

 会議には、九事業所から一〇人が参加しました。医療機器安全管理責任者の業務である「医療機器の年間保守計画の策定と実施」「医療機器安全使用研修の実施」「医療機器安全のための情報収集」を軸にディスカッションした結果、次のような課題が浮き彫りになりました。
 「CEがいても、機器管理まで時間が割けない。絶対的なマンパワー不足」「苦労してやっていても、それが正解かどうかわからない。同じ視点で相談できる 人がいない」「CEがいない。医療機器の専門職種の視点が入らない」「CEがいない事業所へ出張し、機器管理をする場合の注意は―」「医療監視、厚生局適 時調査、機能評価、ISOなどの外部調査への対応について」…。
 今回の会議の目的である、医療機器安全管理に関わる近畿の仲間同士で顔の見える関係が築けました。メンバーの連絡簿を共有し、日常の業務の中での情報交換も可能になりました。
 またインターネットのグループサービス機能を利用し、メンバーだけが使えるネットワークを作りました。そこでは、機器の点検表やチェックリスト、オリジ ナルの簡易説明書、マニュアルなどを共有することにしました。たとえば、とりくみがすすんでいる施設は、自施設の点検表などをアップ。未実施の施設がそれ らのデータをダウンロードし、利用できるようになりました。

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民医連内で交流を

 次の目標は、外部講師を招いての講演や、とりくみの発表なども盛り込んだ医療機器安全管理 の学術的な会を開くこと。医療機器関連の課題である機器点検方法や、ヒューマンエラー対策、機器の安全使用研修のノウハウなども議論したいテーマです。ま た、災害時や停電時(計画停電含む)の対策、広くはエネルギー問題についてもCEが中心となって考えるべき課題の一つと考えています。
 民医連では、医療安全や薬剤の安全、感染対策等については議論・交流の場が設けられていますが、医療機器の安全についてはディスカッションする場がまだ少ないと感じています。
 医療機器は適切に使用することで医療の質と安全性が向上し、費用削減につながることもあります。しかし、使用方法を誤れば大きな医療事故に発展したり、多大な無駄遣いにもなりかねません。
 民医連総会方針には「コメディカルは県連、地協レベルの横の繋がりをより密にとること」とあります。地協や県連単位で医療機器の安全について振り返ることを、この場を借りて呼びかけます。

(民医連新聞 第1531号 2012年9月3日)

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