民医連新聞

2012年7月16日

問題だらけの国会 構造改革も“再稼働”された 吉田万三 国民運動部長に聞く

 六月二六日、消費税増税修正法案とともに、「社会保障制度改革推進法案」が衆議院で採決されました。全日本民医連は即日、抗議声明を発表しています。いまの国会をどうみるか。全日本民医連副会長で国民運動部長の吉田万三さんに聞きました。

自民・公明・民主 事実上の大連立

 増税と社会保障にかかわる重大な法案が、自民・公明・民主三党の密室談合で決まり、採決されました。「事実上の大連立」といっていい構図です。
 報道でクローズアップされるのは、造反議員の処遇や誰が何人離党した、などといった政局ばかりですが、問題はそこではありません。消費税が一〇%に引き 上げられることで国民生活や日本の景気、医療・介護事業所の経営にどれだけ打撃を与えるか、心配してもしたりない位です。
 また、消費税増税法案の影に隠れて通った「社会保障制度改革推進法案」も大問題で、「社会保障解体法案」と呼びたい内容です。これは国会での審議もほとんど行われませんでした。
 法案の目的は「安定した財源の確保」や「受益と負担の均衡」「持続可能な社会保障制度の確立」を図る制度改革(一条)で、社会保障制度の基本を「家族や国民相互の助け合い」で行うとしています。
 公助を縮小し、自助・共助を中心に据えるのは、社会保障の原則に逆行しています。日本国憲法は、国民の生存権保障や社会保障の責任を政府に課しているのですから。
 また、年金・医療・介護の基本は社会保険制度で、社会保障財源には消費税や地方消費税をあてると明記し、国でも地方自治体でも社会保障への支出を減らす 方向性を示しました。附則には「生活保護制度の見直し」が盛り込まれました。保護基準の引き下げもありうる中身です。

国民への打撃は小泉改革を超える

 これらの制度改革の具体化は、「社会保障制度改革国民会議」ですすめるとされています。こんな重大事項を決めるのが、首相が任命したわずか二〇人程度の委員です。
 小泉構造改革は様々な分野で国民生活に打撃を与え、その結果起きた政権交代で、いったんは止まった。その構造改革路線が「全面再稼働宣言」されたような ものです。しかも、社会保障分野の国民負担増を試算すると、二〇一五年の総計は七兆三〇〇〇億円で、ここに消費税が一〇%にされるのですから、小泉構造改 革より、国民に与えるダメージは大きいのです。

私たちはどうたたかうか

 では、私たちはどうたたかうか。審議は参議院に移りました。ここで簡単に法案を通さない規模で運動にとりくみましょう。与党に大量の造反者が出たのは、世論の力が押しているからなのです。
 この法案が通れば、誰にどんな影響が出て、どれだけ困るのか、徹底的な真実の暴露を、現場から行いましょう。
 二つ目には、脱原発、TPP阻止、消費税増税反対など、いま様々な運動課題でこれまでなかった人たちとできた共同を、さらに大きな流れにしてゆくことがカギになると思います。

(民医連新聞 第1528号 2012年7月16日)

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