民医連新聞

2012年6月4日

若者は組合をめざす ひとりで入れるけど、ヒトリにならない 首都圏青年ユニオン専従日記(5) ~最賃では暮らせない~ 文 山田真吾

 最低賃金(以下最賃)とは、最低賃金法で国が定める1時間あたりの賃金の最低額のことで、使用者(雇い主)はその最賃の額以上の賃金を労働者に支払わな ければなりません。最賃は47都道府県ごとに定められ、もっとも高いのは東京都の時給837円で、岩手、高知、沖縄県の時給645円がもっとも低い金額で す。例えば、1日8時間、月22日勤務すると、東京では月収14万7312円、沖縄だと月収11万3520円です。働く貧困層と言われるワーキングプアは 年収200万円台の人を指しますが、現在の最賃水準では年収200万円を超えることは困難です。
 最賃以下で働かせることは法律違反ですが、珍しくありません。「シッスルドッグスクール」という犬のしつけや訓練を行う会社が最賃違反でした。訓練士の 男性は午前7時に出勤し、午後9~10時まで働いていたのに月収10万円前後。月の労働時間から換算すると時給730円以下で、残業代も深夜割増賃金もあ りません。
 会社に団体交渉を申し入れると、「訓練士は師匠について技術を身に付けるため労働者ではない。支払った金銭も落語の師匠が内弟子に与える小遣いのような もので、労働の対価ではない」と主張。さらに「業界では珍しくない」と。「業界では当たり前」という言葉はよく使われますが、世間で通用しない法律違反と いうことが多々あります。この会社とは裁判をし、和解しました。労働者側も「業界の常識」に惑わされないすべを身につけなければいけません。
 「生活ぎりぎりの賃金だけど、この仕事が好きだからがんばる」という人は多くいます。そういったやりがいをたてに低賃金で抑えるのではなく、生活できる 賃金水準が必要です。経営側ともどのような働き方が適正なのかを議論していかなければなりません。貧困をなくすとりくみとして最賃を上げることは極めて重 要です。
 毎年この時期に、最賃を決める「最低賃金審議会委員」が任命されるため、私たちの代表を委員にしようと行動しています。しかし首都圏青年ユニオンが加盟 する全労連(全国労働組合総連合)の推薦者が任命されたことはなく、47都道府県で「連合」推薦者が独占しています。

(民医連新聞 第1525号 2012年6月4日)

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