民医連新聞

2012年5月7日

142人が学び交流 新入医師オリエンテーション

 四月二〇~二一日、新入医師オリエンテーションが東京で行われ、民医連で研修を開始した一四二人が参加しました。今回で三回目になるこのとりくみは、新入医師が一堂に集い、民医連の歴史や理念、活動方針などを学び、つながりを持つことが目的です。(矢作史考記者)

 全日本民医連副会長で医師部長の増田剛医師が開会あいさつ。民医連の震災支援を著した『被 災者に寄りそう医療』を紹介し、「民医連は差別のない平等の医療を旗印に、人権を大切にしてきたと、自信を持って言えます。そんな民医連の歩みを、みなさ んなりに考えてほしい」と期待を寄せました。また、「民医連の事業所にはどの分野でも、どの科でも、みなさんの成長につながるような宝物がちりばめられて います。一つ一つの出会いや経験を大事にしましょう」と呼びかけました。

初期研修で大事なこと

 福井大学医学部の寺澤秀一教授が、「今、医師に求められているもの~初期研修で何を学ぶべ きか~」と題して記念講演。「知識」や「技術」、医師としての「姿勢」との関係で、初期研修医時代に大切にすべきこととして「知識はいつでも習得できる が、患者の気持ちに心を配る姿勢や考え方は、頭が柔らかい初期研修の時にこそ、体に染みこませなければいけない。まずは姿勢の良い先輩医師を真似てくださ い」と語りました。
 また、研修で大切なこととして寺澤流「ミスをした時の五箇条」を紹介。「自分のミスを責めすぎないこと。偉大といわれる医師は失敗を重ねて、経験値にしていった」と強調しました。
 全日本民医連の藤末衛会長は、福島で放射能被害と向き合う事業所と民医連の全国支援を報告。「エビデンスのない未知の問題に立ち向かうには、謙虚な姿勢 が必要。未経験で未熟な今のうちに、その姿勢を大事にしてください」と話しました。

先輩医師がエール

 二人の後期研修医が、新入医師にエールを送りました。現在、耳原総合病院(大阪)で後期研 修中の早川モモ医師(〇八年卒)は、石川県北端の輪島診療所で経験した研修について紹介。同診の地域は、住民の二割が友の会に加入しています。人里離れた 地域でも、無差別平等の民医連の理念が生きていると、話しました。
 「衝撃的だったのは、車も入れないような場所に、一人暮らしの患者さんがいたこと。通うのが大変でも、看護師や介護士が訪問していた。どこで研修をして も、民医連の考え方は生きている。オール民医連だと感じた」。
 坂総合病院(宮城)の堀切康正医師(〇九年卒)は、出身地の鹿児島から宮城に行ったエピソードをユーモアを交えて紹介。患者や同期の研修医に励まされた 初期研修の思い出を語りました。「技術や知識で周りの研修医と比較することもあると思います。でも結果はウサギとカメの競争と同じ。自分が一歩ずつすすん でいくことを確認することが大事」。結びにアントニオ猪木の名言を新入医師に贈り、会場を沸かせました。
 閉会あいさつは全日本民医連医師部の竹内一仁医師(青森)。「二日間の交流を通して全国に仲間の存在を感じたと思います。これからの二年間、仲間を大切 にしてください。そして来年のセカンドミーティングで会いましょう」と締めくくりました。
 新入医師はスモールグループディスカッションで交流を深め、二年後の自分への手紙を書きました。「寺澤先生の話を聞いて、今まで漠然としていた患者さん への接し方や、気持ちの持ち方がわかった。患者さんや、家族の心にまで気を配れる医師になりたい」「スモールグループディスカッションで、全国の方針は同 じでも、研修のスタートラインの違いがわかった。不安を話せてよかった」「先輩医師の話を聞いて、他職種とも相談できるような関係をつくることが大事だと わかった」などの感想が新入医師から寄せられました。

(民医連新聞 第1523号 2012年5月7日)

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